CORE Reference News 2026年8月号 注目記事

【CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料公開しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1回、毎月末に公開。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て、参考用として注目記事を日本語でご紹介しております。正確な内容や詳細は英語原文と各ニュースのリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

注:『CORE Reference』の公式サイトは、欧州メディカルライター協会(EMWA)の公式サイト内に移転・統合されました。

【2026年8月号の注目記事】
「CORE Reference News Summary」2026年8月号から注目記事をご紹介いたします。

◆米国の臨床試験レジストリ「ClinicalTrials.gov」サイトと、「プロトコル登録・結果提出システム(PRS)」の全面刷新(modernization)が完了。モダン化した新PRSが、今後のプロトコル登録と試験結果提出の主要システム。
・従来型PRS(classic PRS)の段階的廃止に関する情報
「Protocol Registration and Results System (PRS) Modernization: Phasing out the Classic PRS」
・新PRSのチュートリアル「Modernized PRS Guided Tutorials」

◆世界保健機関(WHO)は、人工知能(AI)関連の医療・医学研究での倫理審査と監視に関する指針「Artificial intelligence-related health research: ethics review and oversight」を発表(無料ダウンロード可能)。本指針は、以下の3つカテゴリーでの倫理審査と監視を検証。
・AIを活用した医療・医学関連データサイエンス
・AIツール・技術を活用する医療・医学研究
・AIツール・技術自体を対象とする医療・医学研究
なお、創薬および医薬品開発でのAI活用については本指針の対象外のため、WHOの別の指針「Benefits and risks of using artificial intelligence for pharmaceutical development and delivery」(2024年)を参照。

◆米国トランプ政権が医薬業界に及ぼす影響
(1)トランプ大統領は小児のワクチン接種回数削減の大統領令に署名。麻疹・おたふく風邪・風疹(MMR)の3種混合ワクチンは、疾患別に3つのワクチンに分けて個別接種することを奨励。
Reuter「Trump order reduces US vaccine schedule, seeks to split MMR shot」

(2)これを受け、英国の規制当局(MHRA)は、小児ワクチン接種の安全性を改めて表明。
gov.uk「MHRA reaffirms the safety of childhood vaccination」

(3)『BMJ』誌は、米国のワクチン政策変更により、ワクチンで予防可能な疾患の再流行が必至という論説を掲載。
BMJ「US policies are making a resurgence of vaccine-preventable diseases inevitable」
また、同誌は、MMRワクチン分割の高コストと危険性を指摘。
BMJ「Why Trump’s order to split MMR vaccine is costly and dangerous」

 

著者:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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CORE Reference News 2026年7月号 注目記事

【CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料公開しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1回、毎月末に公開。

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【2026年7月号の注目記事】
「CORE Reference News Summary」2026年7月号から注目記事をご紹介いたします。

◆カナダ保健省(Health Canada)は、2013年から公開している「Clinical Trials Database」を刷新し、「Clinical Trials Search Portal」(治験検索ポータル)を開設。同ポータルはヒト用医薬品、バイオ医薬品、放射性医薬品について、カナダ国内で承認された治験の最新情報を無料提供。
・ガイダンス「Guidance on the registration of clinical trials and public disclosure of results: Clinical trials portal」
・ポータルサイト「Canadian Clinical Trials Search Portal」

<補足情報>
従来同様、同ポータルは治験レジストリではなく、治験情報の「検索ツール」という位置づけですが、検索で得られた治験が国際的な治験レジストリに登録されている場合、そのレジストリの登録情報へのリンクが貼られており、より詳しい情報にアクセスできる仕様になっています。
また、原則として治験完了後12ヵ月以内に治験の「summary results」が同ポータルに掲載されるので、治験関連文書(論文を含む)の英訳や英文ライティング・校閲のご参考になるかもしれません。同ポータルの詳細や利用方法などは、上記のガイダンスでご確認ください。

◆欧州で実施された医薬品治験の半数以上が、法的義務に反して治験結果を公表していないことから、20の医療関連団体が共同で欧州医薬品庁(EMA)宛てに、早急の対応を求める書簡を送付。これを受け、EMAは治験の透明性とアクセスの向上に向けて、すでに企業・大学などに未公表の治験結果について通知を送付し始めていることや、結果が未公表の治験を各国規制当局に知らせるシステムを構築していることなどを回答。EMA宛ての書簡とEMAの回答文書の写しは、以下のサイトで無料ダウンロード可能。
「European Medicines Agency takes rapid action on missing clinical trial results」

◆米国トランプ政権が医薬業界に及ぼす影響
(1)米国保健福祉省やホワイトハウスの関係者らによると、Robert F. Kennedy Jr.厚生長官は小児予防接種スケジュール全体を廃止する案や、ワクチンと自閉症の関連性を解明するための巨額の予算準備など、米国の長年のワクチン政策を覆す動きを強力に推進。
Reuter「Inside RFK Jr.’s push to dismantle decades of U.S. vaccine policy」

(2)米国食品医薬品局(FDA)のKyle Diamantas長官代行は、前FDA長官Marty Makary氏が任期中に医学誌で発表したCAR-T細胞療法の治験デザインに関する方針と、超希少疾病の治療法に対する新たな承認経路の確立は、FDAの政策決定プロセスを経ておらず、FDAの公式な政策やガイダンスではないと正式に表明。
Regulatory Affairs Professionals Society (RAPS)「Diamantas backtracks on Makary’s policies issued in journal articles」

 

著者:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
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CORE Reference News 2025年12月号 注目記事

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【2025年12月号の注目記事】
「CORE Reference News Summary」2025年12月号から注目記事をご紹介いたします。

◆CIOMS(国際医学団体協議会)がICH用語集第9版を公開。
「Glossary of ICH terms and definitions」Version 9

<補足情報>
この用語集はICHガイドライン全体から主な専門用語とその定義をまとめたもので、年2回アップデートされています。CIOMSの公式サイトからPDF版を無料でダウンロードできます(要登録)。製薬関連のボキャブラリーの強化や訳語の確認、組織内の日英・英日製薬関連用語集の作成・改訂などにご利用になると便利だと思います。

◆CIOMS(国際医学団体協議会)は、ファーマコビジランスにおけるAIの活用について、指針とベストプラクティスの確立・推進を目的とする報告書を発表。
「Artificial Intelligence in Pharmacovigilance」

◆EFPIA(欧州製薬団体連合)は、創薬から市販後までの医薬品ライフサイクルにおける、AIの活用とガバナンスについて報告書を発表。
「AI Across the Medicines Lifecycle: Insights from Preliminary Case Studies and Considerations for Policy」

◆米国トランプ政権が医薬業界に及ぼす影響
(1)昨秋、米国政府機関の閉鎖によりPubMedやClinicalTrials.govで更新が遅延したことを受け、Cochrane Germanyなど、ドイツの3つの医療関連組織は、米国の政策が文献研究に与える影響を検討し、PubMedやClinicalTrials.govの停止に備えて代替手段を提案。
「Informationsbeschaffung in unsicheren Zeiten」

<補足情報>
この記事はドイツ語で書かれていますが、Google翻訳などを利用して日本語か英語に訳して読むとよろしいかと思います。PubMedとClinicalTrials.govそれぞれの代替手段一覧は、基本情報が簡潔にまとまっていてわかりやすいです。

(2)スイスの研究倫理団体Swissethicsも、昨秋のClinicalTrials.govの登録遅延などを踏まえ、WHOが承認している他の臨床試験レジストリを紹介。
「Possible problems with clinicaltrials.gov」

 

 

著者:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
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CORE Reference News 2025年10月号 注目記事

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【2025年10月号の注目記事】
「CORE Reference News Summary」2025年10月号から注目記事をご紹介いたします。

◆PMDAは組織全体の業務遂行能力を向上させるため、AI技術の導入・活用を推進する指針「PMDA業務に対するAI活用行動計画」を策定。

◆米国政府機関閉鎖の影響
(1)米国の医学文献データベース「PubMed」は、政府機関閉鎖中も新規論文の自動アップロードを継続したが、閉鎖解除後も更新の遅延はしばらく続く可能性あり。また、新規ジャーナルの収載を審査する委員会が廃止。政府機関閉鎖解除後は審査体制が縮小される見通し。PubMedが再び機能停止する事態に備え、米国外で代替データベースの開発が活発化。
BMJ「PubMed is running on autopilot during shutdown, but key independent committee has been abolished

<補足情報>
PubMedのサイトに掲載されていた更新遅延のお知らせは現在削除されており、機能はすべて正常化した模様です。しかし、PubMedは過去にも機能停止したことがあり、今後も同様の事態が生じる可能性がありますので、代替データベースの利用にも慣れておくと良いでしょう。(例:Europe PubMed Central [PMC]、Google Scholar)

(2)米国の治験レジストリ「ClinicalTrials.gov」では、新規治験登録や既存の登録の更新、問い合わせ対応などが遅延。代わりに英国の治験レジストリ「ISRCTN」などで迅速な登録を。

<補足情報>
ClinicalTrials.govに掲載されていた遅延のお知らせは、現在削除されており、機能はすべて正常化した模様です。

◆米国FDAは、同局に提出された新薬承認申請(NDA)が受理可能か判断するための申請チェックリストを新たに公開。
「FDA Publishes Filing Checklists to Prevent Submission Delays」
簡略新薬申請(ANDA)のチェックリストは、2023年に「MAPP 5200.14 Rev. 1」で公開済み。

◆欧州メディカルライター協会(EMWA)の公式ジャーナル『Medical Writing』2025年9月号が「Real-World Data, Real World Evidence」特集。

◆TransCelerate社のプロトコル関連情報
(1)治験プロトコルの作成段階で患者エンゲージメントを図るための包括的な資料セット「Patient Protocol Engagement Toolkit (P-PET)」に、分散型臨床試験(DCT)での考慮事項を「補遺」として追加。
「DCT Considerations Addendum」

(2)ICH M11治験実施計画書ガイドライン案が正式採択され次第、「ICH M11 Protocol Template」との整合を図るため、「Common Protocol Template (CPT)」を改訂中。CPT Basic版(Word版)と関連資料の草案を公開。CPT改訂最終版は2026年初頭に公開予定。
「CPT Re-aligned to ICH M11 Template」

◆米国トランプ政権が医薬業界に及ぼす影響
(1)欧州の医薬品開発は、米国の研究予算削減と医薬品関税により危機的状況。
BMJ「Trump cuts: Gaps in drug research funding in Europe can’t be filled, experts warn」

(2)トランプ政権によるワクチン政策転換を受け、米国の医師・研究者らのボランティア・グループが、予防接種推奨の指針となるデータの評価を独自に開始。
Nature「Volunteer scientists work ‘nights and weekends’ to guide vaccine advice in US」

 

著者:内山 雪枝(クリノス 代表)
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CORE Reference News 2025年5月号 注目記事

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【2025年5月号の注目記事】

◆ICHガイドライン情報
(1)下記の4件に関して各々新たなガイドラインを策定することを、2025年5月開催のICH総会で発表

  • リアルワールドエビデンス(RWE)
  • バイオシミラーの有効性比較試験
  • 希少疾病治療薬の開発
  • 先端医療医薬品の製造工程変更

詳細はICH総会のプレスリリース「Press Release: ICH Assembly Meeting, Madrid, Spain, May 2025」をご覧下さい。

(2)ICH E21「妊婦及び授乳婦の臨床試験への組入れ」案を公開。EMAなどがパブリックコメントの募集を開始。
Draft guideline 「Inclusion of Pregnant and Breastfeeding Individuals in Clinical Trials」

◆WHOが臨床試験レジストリでの試験結果報告の新たな指針を発表
「Reporting summary results in clinical trial registries: updated guidance from WHO」

◆AIはメディカルライターに取って代われるか?
AIは治験文書作成を飛躍的に高速化・効率化するが、人間の論理的思考の再現には至っていない。メディカルライターの能力を置き換えるのではなく強化する。
「Can AI replace medical writers? Experts say not immediately」

◆米国OpenAIの教育プラットフォーム「OpenAI Academy」に、ChatGPTを活用した文章作成に関するビデオ講座「ChatGPT for Writing and Coding」あり

◆米国Robert F. Kennedy Jr.厚生長官が医薬業界に及ぼす影響
(1)長官就任後、初の議会登壇で、自身のワクチン懐疑発言や政府保健機関の大幅な予算・人員削減などを擁護
ロイター通信 「US health chief Kennedy clashes with lawmakers over vaccine comments」

(2)政府研究者による主要医学誌への論文投稿の制限を示唆。研究の自由を巡る議論を呼び、国内外のメディアがコメントを発表。

 

著者:内山 雪枝(クリノス 代表)
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CORE Reference News 2024年12月30日号

【CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(米国FDAの生物製剤評価研究センター)
  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国FDAの医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(EU臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(EU臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. EU CTRとCTIS

1.1 2024年12月13日、以下の3文書の各更新版がACT EUの公式サイトで発表されました。

ヒト用医薬品の製造販売承認申請(MAA)におけるCCIと個人情報の特定と開示の原則が更新されました。これにより、医薬品承認後に情報を一般公開する際、EMA文書の開示請求への対応とデータの積極的な開示の両面において、広範な透明性が確保されます。

今回のガイダンス更新は、2012年のガイダンス発出以来、規制当局が進めてきた透明性の向上と歩調を合わせるものです。更新版では、個人を特定できるような個人データがどのように保護されるかも規定されています。

訳注)ACT EU(Accelerating Clinical Trials in the EU):欧州での臨床試験の開始・設計・実施方法を革新して、高品質で有効・安全な医薬品の開発を促進することや、臨床研究を医療制度へさらに組み込むことなどを目的として、欧州委員会とEMAとHMAの三者が共同で始めた取り組み。

1.2 EMAは次回のCTISショート説明会を2025年1月29日16:00~17:00(アムステルダム時間)に開催します。事前の質問は、2025年1月6~22日にSlidoからコード「#clinic249」を使用して提出可能です。

1.3 EMAは以下の4文書について各々更新版を発表しました。

1.4 2024年12月18日、EMAとHMAはガイダンス「HMA/EMA guidance document on the identification of personal data and commercially confidential information within the structure of the marketing authorisation application (MAA) dossier」(販売承認申請 [MAA] 書類の構造内での営業機密情報 [CCI] と個人情報 [PPD] の特定に関するHMA/EMAガイダンス文書)の改訂版(全53頁)を発表しました。

本ガイダンスは、国内手続きや相互承認手続き、地方分権手続き、中央集権手続きの下で規制上の手続きが完了したヒト用医薬品の情報・文書を適用対象としています。本ガイダンスには、PPDまたはCCIと見なされる場合がある情報に関するAnnex(付属書)が添付されています(後述の記事No.1.5参照)。

EMAは、本ガイダンスの改訂に伴い、「A common EU approach to data transparency in medicine regulation」(医薬品規制のデータ透明性に対するEUの共通アプローチ)を発表しました。今回の改訂については、RAPSのレビュー記事「EMA, HMA overhaul guidance on data transparency in MAAs」(EMAとHMAがMAAのデータ透明性に関するガイダンスを全面的に見直し)もご参照下さい。

訳注)RAPS(Regulatory Affairs Professionals Society:薬事専門家協会):医薬品や生物製剤、医療機器、デジタルヘルスなどの規制に携わる専門家の世界最大の組織。1976年に米国で設立され、国内外の規制当局やアカデミア、製薬・医療機器業界などの専門家により、レギュラトリーサイエンスの情報交換や教育を実施。

1.5 EMAはガイダンス「HMA/EMA guidance document on the identification of personal data and commercially confidential information within the structure of the marketing authorisation application (MAA) dossier」(販売承認申請 [MAA] 書類の構造内での営業機密情報 [CCI] と個人情報 [PPD] の特定に関するHMA/EMAガイダンス文書)のAnnex I(付属書I)を、2024年12月13日付で発表しました。Annexには、臨床試験でコンプライアンスと透明性を担保するための開示ルールや構造化データ、文書の種類、開示のタイムラインが詳述されています。

1.6 EMAは、EUにおける医薬品の電子製品情報(ePI)の導入に向けた次のステップと、導入のための推奨事項をまとめた報告書「ePI pilot report: Experience gained from creation of ePI during regulatory procedures for EU human medicines」(ePIパイロットプロジェクト報告書:EUのヒト用医薬品の規制手続き中にePIを作成した経験)を発表しました。医薬品の製品情報には製品特性概要(SmPC)、ラベリング、医薬品添付文書が含まれます。

報告書の背景などについては、EMAの「Successful pilot paves the way for implementation of ePI」(試験的導入の成功によりePI実装へ前進)をご覧下さい。

2. 英国とMHRAのニュース

英国の新たな臨床試験規則が、2024年12月12日に英国国民保健サービス(NHS)の医療研究機構(HRA)とMHRAによって英国議会に提出されました。新たな規則は2025年に審議され、12ヶ月の実施期間を経て2026年初頭に施行される見通しです。

新たな規則では、世界保健機関(WHO)が指定する治験・臨床研究登録機関(レジストリ)に臨床試験を登録し、試験終了から12か月以内に結果の概要を公開することが初めて法的に義務付けられます。規則の主な変更点については、「New clinical trials regulations laid in parliament today」をご覧下さい。

3. 米国FDAのガイダンスとニュース

3.1 米国国立衛生研究所(NIH)は、NIHが資金提供した研究の成果をできるだけ早く利用できるようにするため、新たに「NIH Public Access Policy」を発表しました。

また、NIHは、研究者や臨床医、学生、一般の人々が研究結果を簡単に見つけて利用できるようにするための計画「NIH Plan to Increase Findability and Transparency of Research Results Through the Use of Metadata and Persistent Identifiers」(メタデータと永続的識別子 [PID] の利用により研究結果の検索性と透明性を高めるNIH計画)も発表しました。この計画に対するパブリックコメントを2025年2月21日までこちらで受け付けています。

3.2 2024年12月26日、FDAは全13頁のガイダンス案「Protocol Deviations for Clinical Investigations of Drugs, Biological Products, and Devices」(医薬品、生物学的製剤、医療機器の臨床試験におけるプロトコル逸脱)を発出し、パブリックコメントを2025年2月28日までこちらで募集しています。プロトコル逸脱に関するFDA規制の既存の問題に対処するため、ガイダンス案には以下の内容などが含まれています。

  • 「プロトコル逸脱」と「重要なプロトコル逸脱」の各定義
  • 治験依頼者が医薬品や医療機器の治験総括報告書(CSR)でFDAに報告すべきプロトコル逸脱の種類に関する推奨事項
  • 治験責任医師が治験依頼者と治験審査委員会(IRB)に報告すべきプロトコル逸脱の種類に関する推奨事項
  • IRBによるプロトコル逸脱評価に関する推奨事項

本ガイダンス案でFDAは、ICH E3(R1)ガイドラインの「プロトコル逸脱」と「重要なプロトコル逸脱」の各定義を採用しています。

4. 透明性・情報開示のリソースとニュース

4.1 Khaled El Emamらは論文「Perspectives of Canadian privacy regulators on anonymization practices and anonymized information: a qualitative study」(匿名化の実施と匿名化情報に関するカナダのプライバシー規制当局の見解:定性的研究)を発表しました。

この論文は、匿名化の実施や匿名化情報の定義に関する規制の精度と一貫性がカナダ全土で欠けていることや、データ匿名化の方法に関して一般的に受け入れられる国のガイダンスが存在しないことを示しています。このような状況は、法域を超えて匿名化データを共有するための国の技術的解決策や政策の策定を阻んでいます。

著者らは匿名化の実施と匿名化データの規制方法に関してプライバシー規制当局の見解を理解するため、カナダのプライバシー規制当局者の93%を対象に定性的インタビュー調査を実施しました。この論文に関するウェビナー「How Canadian Regulators Approach De-Identification: An Interview Study」(カナダ規制当局は匿名化にどのように取り組んでいるか:インタビュー調査)が、2025年2月11日に開催されます。

4.2 Real Life Sciences社は、新たにポッドキャスト「Which Methodology Should I Choose? Qualitative & Quantitative Anonymization for Policy 0070 and PRCI Disclosure Submissions」(匿名化の方法はどちらを選ぶべきか?EMAのPolicy 0070およびカナダ保健省のPRCI [Public Release of Clinical Information] の開示提出における定性的匿名化と定量的匿名化)を公開しました。

規制の専門家やデータ透明性の専門家が利用可能な臨床データ匿名化の方法は、現在2つあります。このポッドキャストでは、定性的なプロジェクトを完了するためのベストプラクティスを深く掘り下げるなど、匿名化の定性的手法と定量的手法の違いを検証しています。

5. 開発戦略ニュース

5.1 Kooらは論文「Review of the European Union Clinical Trials Regulation: Key Early Learnings from the United Kingdom Drug Information Association Medical Writing Committee」(EU臨床試験規則 [CTR] のレビュー:英国DIAメディカルライティング委員会が得た知見)を発表しました。CORE Reference TeamのメンバーVivien Faganもこの論文の共著者の1人です。論文はこちらから全文無料でご覧頂けます。

同委員会は治験薬概要書(IB)や治験プロトコル、plain languageによるプロトコル概要、中間解析、補助医薬品(AxMP)、plain language summaryなどに関して得られた知見を論文にまとめています。

治験プロトコルの作成に関する留意事項としては、開示に向けたアプローチや、TransCelerate社提供の治験プロトコルの変更(例:治験終了の定義)、1年間に実施可能な修正(改訂)回数、情報提供依頼(RFI)に対するアプローチなどが挙げられています。

5.2 2024年12月5日にTransCelerate社とCDISCが共同開催したウェビナー「Digital Data Flow (DDF) Solution Showcase: December 2024」(デジタルデータフロー [DDF] ソリューションの紹介:2024年12月」のビデオ録画とスライドが公開されました。このウェビナーでは、複数のソリューションプロバイダーが治験プロトコルのデジタル化の革新的なソリューションを紹介しました。

訳注1)TransCelerate BioPharma Inc.:世界のバイオ医薬品企業約20社が協力して、新薬の効率的・効果的かつ高品質な提供を促進する方法を探求する非営利団体。日本の製薬企業も数社参画。治験総括報告書(CSR)や治験プロトコルのテンプレートなどを作成・提供。

訳注2)CDISC:Clinical Data Interchange Standards Consortium。臨床試験データなどの電子的収集・交換・申請に関して業界標準を策定している国際的な非営利組織。1997年に米国で設立され、国内外のアカデミアや製薬企業、CRO、IT企業などが参加。CDISCが規定する標準規格は「CDISC standard」(CDISC標準)と呼ばれている。

6. アジア規制当局のニュース

以下の臨床試験レジストリはクリスマス・年末から年始にかけて休止となります。

 

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CORE Reference News 2024年12月16日号

【CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(米国FDAの生物製剤評価研究センター)
  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国FDAの医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(EU臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(EU臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. CORE Reference Teamからのお知らせ

2024年12月4日に開催したCORE Referenceウェビナー「Voydeya: A Real Life Example of EMA Policy 0070 in Rare Disease」(希少疾患の臨床試験データ公開 [EMA Policy 0070] の実例:ボイデヤ® [一般名:ダニコパン])のビデオ録画とスライドを、こちらで公開しました。どなたでも無料でご覧頂けますので、お知り合いの方々にもお伝え下さい。

2. ICH

2.1 EUネットワークは、「医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)」の改訂を支援するACT EUの活動の一環として、ICH E6(R3) GCPガイドラインの原則とAnnex 1に関するワークショップを、2025年2月19~20日にハイブリッド形式で開催します。このワークショップではICH-GCPガイドラインの主な変更点を概説し、ガイドラインの実施について多様なステークホルダーと検討します。

訳注)ACT EU(Accelerating Clinical Trials in the EU):欧州での臨床試験の開始・設計・実施方法を革新して、高品質で有効・安全な医薬品の開発を促進することや、臨床研究を医療制度へさらに組み込むことなどを目的として、欧州委員会とEMAとHMAの三者が共同で始めた取り組み。

2.2 EMAは、ICH E6(R3)ガイドライン「医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)」のAnnex 2案について、パブリックコメントを募集しています。コメントは、専用テンプレートを使用してICHE6_R3@ema.europa.eu宛てに2025年2月28日まで提出可能です。

訳注)日本では厚労省がパブリックコメントを2025年1月25日までこちらで募集しています。また、無料の説明会が動画配信形式で開催されます(2025年1月6~25日公開予定)。説明会の詳細はこちらをご覧下さい。

3. EU CTRとCTIS

3.1 CTISの臨床試験開始申請(CTA)評価内のすべてのタイマーが、2024年12月22日23:59:59(中央ヨーロッパ時間)に一時停止されますのでご注意下さい。タイマーは2025年1月8日00:00:01(中央ヨーロッパ時間)に再開されます。詳細は「CTIS evaluation timelines」をご覧下さい。

3.2 EMAは、2024年11月20日に開催したCTISショート説明会のビデオ録画を公開しました。

3.3 CTIS Training Environment(別名:CTIS Sandbox)は、システムアップデートのため2024年12月18日に利用できなくなり、同日までにシステムに記録されたデータもすべて削除されますので、ユーザーはご注意下さい。CTIS Training Environmentにアクセスしたい治験依頼者は、公開調査「CTIS Sandbox need self-assessment for access planning」から希望を伝えることができます。

4. 英国とMHRAのニュース

4.1 英国の新たな臨床試験規則が、2024年12月12日に英国国民保健サービス(NHS)の医療研究機構(HRA)とMHRAによって英国議会に提出されました。新たな規則は2025年に審議され、12ヶ月の実施期間を経て2026年初頭に施行される見通しです。規則の主な変更点については、「New clinical trials regulations laid in parliament today」をご覧下さい。

4.2 MHRAは、ICH E6(R3)ガイドライン「医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)」のAnnex 2案(ステップ2b)について、パブリックコメントを募集しています。コメントはこちらからご提出下さい。

5. 米国FDAのガイダンスとニュース

5.1 臨床試験レジストリClinicalTrials.govは、PRS(Protocol Registration and Results System:プロトコル登録・結果システム)に関するニュースレター「Hot Off the PRS!」の最新号を発行しました。これによると、PRSのユーザーは試験記録の2つのバージョンを比較できるようになりました。また、Research Information Systems downloadの一部として、新たにフィールドが複数追加されました。これらのアップデートについては、最新の「Release Notes」(2024年12月3日)をご覧下さい。

5.2 FDAはガイダンス案「Expedited Program for Serious Conditions — Accelerated Approval of Drugs and Biologics」(重篤疾患のための迅速プログラム:医薬品および生物学的製剤の迅速承認」を発出しました。本ガイダンスは、迅速承認に関してFDAの方針と手続きの最新情報を提供することを目的としています。

5.3 FDAは最終ガイダンス「Standardized Format for Electronic Submission of NDA and BLA Content for the Planning of Bioresearch Monitoring (BIMO) Inspections for CDER Submissions」(CDERに提出するバイオリサーチモニタリング [BIMO] 査察計画のためのNDA/BLAコンテンツの電子申請用標準フォーマット)を発出しました。本ガイダンスは、FDAのCDERに提出する新薬承認申請(NDA)や、生物学的製剤承認申請(BLA)、新たな臨床試験報告書を含む追加申請のBIMO査察の計画・実施に使用される特定のデータ・情報の標準化された電子申請について説明しています。

5.4 FDAのCDERは、規制上の意思決定におけるリアルワールドデータ(RWD)とリアルワールドエビデンス(RWE)の活用をCDER全体で調整、促進、推進することを目的として、CDER Center for Real-World Evidence Innovation(CCRI)を新設しました。詳細はCCRIの公式サイトをご覧下さい。(訳注:後述の記事No.7.4もご参照下さい)

6. 欧州EMAのガイダンスとニュース

6.1 EMAのニュースレター「Clinical Trial Highlights」2024年12月号は、欧州委員会のガイダンス「Guidance for the transition of clinical trials from the Clinical Trials Directive to the Clinical Trials Regulation」(臨床試験指令から臨床試験規則への臨床試験移行のためのガイダンス)で強調されているように、現在実施中の臨床試験は2025年1月30日までに臨床試験指令(CTD)から臨床試験規則(CTR)に移行しないと、CTRに準拠していないとみなされることを、治験依頼者に注意喚起しています。

6.2 臨床試験開始申請(CTA)や医薬品販売承認申請(MAA)に必要なエビデンスに関して、HMAの臨床試験調整グループ(CTCG)とEMAの科学的助言作業部会(SAWP)が提供する共同科学的助言を、医薬品開発者は要請できるようになりました。

7. リアルワールドデータ

7.1 EMAはドラフト文書「Data Quality Framework for EU medicines regulation: application to real-world data」(EU医薬品規制のデータ品質フレームワーク:リアルワールドデータへの適用)に関して、パブリックコメントの募集を開始しました。

このフレームワークは、医薬品規制のユースケースで使用されるデータセット全体に広く適用されることを意図して、原則や概念、定義を規定しています。その目的は、規制上の意思決定におけるリアルワールドエビデンスの活用を強化することです。パブリックコメントは、EU Survey toolから各セクションの表を使用して2025年1月31日まで提出可能です。

7.2 Welzelらは論文「A transparent and standardized performance measurement platform is needed for on-prescription digital health apps to enable ongoing performance monitoring」(医師が処方するデジタルヘルスアプリで継続的なパフォーマンスモニタリングを可能にするには、透明性が高く標準化されたパフォーマンス測定プラットフォームが必要)を発表しました。

著者らは、実臨床において「apps on prescription (AOP)」(医師が処方する治療用アプリ)(例:ドイツのDiGA)のパフォーマンスを継続的に監視・評価するためのプラットフォームベースのアプローチを提案しています。このアプローチにより、透明性、標準化、パフォーマンスベースの価格設定が向上し、デジタルヘルスのイノベーションを、医療の測定可能なアウトカムに合わせられるとしています。

7.3 欧州のIDERHAプロジェクトは、「D6.2 Report on Global Regulatory Best Practices Analysis: A Scoping Review of HTA and Regulatory RWD/RWE Policy Documents」(グローバル規制ベストプラクティス分析に関するD6.2レポート:医療技術評価 [HTA] および規制上のRWD/RWEポリシー文書のスコーピングレビュー)を発表しました。

訳注)IDERHA:Integration of Heterogeneous Data and Evidence towards Regulatory and HTA Acceptance(規制上と医療技術評価 [HTA]の承認に向けた異種データとエビデンスの統合)。2023年4月に官民共同で発足した欧州革新的医療構想(IHI:Innovative Health Initiative)プロジェクト。異種医療データの安全・確実で合理的な共有を可能にすることを目的としている。

7.4 2024年12月12日、FDAは、規制上の意思決定におけるリアルワールドデータ(RWD)とリアルワールドエビデンス(RWE)の活用を調整・促進するため、CDER Center for Real-World Evidence Innovation(CCRI)を設立すると発表し、CCRIに関するQ&A集「CCRI Frequently Asked Questions」を公開しました。(訳注:前述の記事No.5.4もご参照下さい)

8. 透明性・情報開示のリソースとニュース

8.1 Canadian Anonymization Network(CANON)とAccessPrivacyは、ラウンドテーブル・ディスカッション「Consultation Session on Draft De-Identification Guidance Issued by the Information and Privacy Commissioner of Ontario」(オンタリオ州情報プライバシー・コミッショナーが発出した匿名化ガイダンス案に関する協議)を、12月18日12:00~14:00(米国東部時間)に開催します。これは、ガイダンス案の主な特徴とその影響について議論し、参加者からコメントを得ることを目的としています。

8.2 PHUSEは、データの透明性に関する冬季オンラインイベント「PHUSE Data Transparency Winter event」を2025年2月4~6日に開催します。プレゼンテーションは3日間とも15:00~17:30(グリニッジ標準時)に行われる予定です。参加を希望される方は、こちらからお申し込み下さい。

訳注)PHUSE:Pharmaceutical Users Software Exchange。製薬企業やIT企業などのデータマネージメント、生物統計、電子臨床データ、毒性、病理、薬理などの各専門家ボランティアから成る国際的非営利組織。FDAやEMA、CDISCなどの規制当局・機関に対する業界代弁者。

9. EMAの臨床試験データ公開(EMA Policy 0070)

Castleらのブログ記事「EMA Clinical Data Publication Policy to Cover All New Marketing Authorization Applications, Line Extensions and Major Clinical Type II Variations Starting Q2 2025」(2025年第2四半期以降すべての新規販売承認申請 [MAA]、ライン延長申請、主要な臨床タイプIIバリエーション申請が対象になるEMA臨床データ公開ポリシー)は、2025年のEMA臨床試験データ公開(Policy 0070)の次のステップを概説しています。

10. 開発戦略ニュース

10.1 Clinical Trials Transformation Initiative(CTTI)は、臨床試験の多様性行動計画(DAP)の実施を促進するためにその課題と解決策を明らかにすることを目指して、新プロジェクト「Diversity Action Plan Implementation project」を開始したことを発表しました(発表全文はこちら)。CTTIは、DAPの実施に関して主な留意点を含む推奨事項またはベストプラクティスを作成し、貢献するパートナーの役割と責任を概説する文書も作成する予定です。

訳注)CTTI:2007年に米国デューク大学とFDAが共同で設立した、臨床試験の品質・効率の向上を目指す産学官連携組織。

10.2 Kooらは論文「Review of the European Union Clinical Trials Regulation: Key Early Learnings from the United Kingdom Drug Information Association Medical Writing Committee」(EU臨床試験規則 [CTR]のレビュー:英国DIAメディカルライティング委員会が得た知見)を発表しました。

同委員会はメディカルライターの視点でCTRを精査し、治験薬概要書(IB)や治験プロトコル、plain languageによるプロトコル概要、中間解析、補助医薬品(AxMP)、plain language summaryなどに関して得られた知見を論文にまとめています。

治験プロトコルの作成に関する留意事項としては、開示に向けたアプローチや、TransCelerate社提供の治験プロトコルの変更(例:治験終了の定義)、1年間に実施可能な修正(改訂)回数、情報提供依頼(RFI)に対するアプローチなどが挙げられています。

10.3 Thomassenらは論文「The role of the estimand framework in the analysis of patient-reported outcomes in single-arm trials: a case study in oncology」(単群試験の患者報告アウトカム [PRO] 分析におけるestimandフレームワークの役割:癌領域のケーススタディ)を発表しました。著者らは、肺癌患者を対象にした単群試験における包括的QOL(Quality of Life)アウトカムに注目し、考えられるestimandの範囲を特定しています。特に、関心のある変数と、中間事象に対応するためのストラテジーに焦点を当てています。

11. 人工知能・機械学習

『Lancet』誌は、研究者が論文を投稿する際にAIの使用を申告する方法について、新たなガイドライン「Generative AI: ensuring transparency and emphasising human intelligence and accountability」(生成AI:透明性の確保と、人間の知性と説明責任の重視)を発表しました。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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CORE Reference News 2024年11月30日号

【CORE Reference Newsとは】
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【略語リスト】(アルファベット順)

  • CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(米国FDAの生物製剤評価研究センター)
  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国FDAの医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(EU臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(EU臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

 

1. ICH

ICH E6(R3)ガイドライン「医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)」のAnnex 2案が2024年11月6日にICH総会で承認され、現在パブリックコメントを募集しています。Annex 2は、多様な試験デザインやデータソースの利用増加に伴って生じるGCPの考慮事項を取り上げています。分散型臨床試験やプラグマティック臨床試験、リアルワールドデータ(RWD)を活用する臨床試験の各例に焦点を当て、追加的なGCP考慮事項を示します。

Annex 2の作業は、ICH E6(R3)原則とAnnex 1の作業と並行して進められ、Annex 1がICHステップ2に到達すると、Annex 2の作業が開始されます。ICH加盟国・地域のステークホルダーは、各々の規制当局にパブリックコメントを提出することが推奨されます。ICH E6(R3)ガイドラインとそのAnnexの詳細についてはこちらをご覧下さい。研修資料はこちらからダウンロード可能です。

2. EU CTRとCTIS

2.1 ベルギー連邦医薬品・医療製品庁(FAMHP)は、治験依頼者に対して、臨床試験をCTR(EU)536/2014に早急に移行するよう求める声明「Important call to clinical trial sponsors: transfer clinical trials to the CTR as soon as possible」を発表しました。

2.2 EMAのニュースレター「CTIS Newsflash」2024年11月19日号には、CTISの重要な最新情報や、有用な参考資料のリンク、冬季クロック停止の詳細などが記載されています。臨床試験開始申請(CTA)評価内のすべてのタイマーが2024年12月22日23:59:59(中央ヨーロッパ時間)に一時停止し、2025年1月8日00:00:01(中央ヨーロッパ時間)に再開されます。

3. 英国とMHRAのニュース

3.1 英国の治験・臨床研究登録機関ISRCTNレジストリは、「Transparency Tracker」の改良や、ISRCTN研究登録フォームの「Protocol/serial no.」欄の変更など、複数のアップデートを最近実施しました。詳しい更新内容は「What’s new on the ISRCTN registry?」をご覧下さい。

「Protocol/serial no.」欄は「Secondary identifying number(s)」欄に変更され、研究者や資金提供者、治験依頼者などが組織内で研究に割り振った参照番号を記入する欄になっています。臨床試験がEudraCT/CTISとClinicalTrials.gov以外のレジストリに登録されている場合は、同欄に治験IDを記入できます。英国国立健康研究所(NIHR)や、医療研究機構(HRA)、Wellcome Trustの助成金番号も同欄に記入します。

3.2 MHRAは、2024年10月15日に開催したウェビナー「Implementing the New UK Clinical Trials Regulations」(英国の新たな臨床試験規制の施行)のビデオ録画を、2024年11月13日に公開しました。このウェビナーでは、(1)新たな臨床試験規制の施行に向けて予想されるスケジュールの概要、(2)ガイダンス案をステークホルダーと共有してフィードバックを得る計画が示されました。
(訳注:翻訳時点で、ウェビナーの録画は「再生できません。アップロードしたユーザーにより削除されました」と表示されています)

ウェビナーに関するブログ記事「MHRA expects new UK clinical trial regulation implementation by January 2026」(MHRAは英国の新たな臨床試験規制が2026年1月までに施行されることを期待)も併せてご参照下さい。

3.3 英国国民保健サービス(NHS)の医療研究機構(HRA)は、臨床試験のインフォームド・コンセントに関する規制の修正案「Simplifying the process of seeking and recording consent in low risk clinical trials」(低リスクの臨床試験におけるインフォームド・コンセントの取得・記録プロセスの簡素化)を発表し、パブリックコメントを募集しています。コメントは、2025年に英国で施行される臨床試験規制の策定に役立てられます。

4. 米国FDAのガイダンスとニュース

ClinicalTrials.govのPRS(Protocol Registration and Results System:プロトコル登録・結果システム)のResultsセクション初の最新化モジュール(被験者の流れ、制限と注意事項、詳細情報)が、現在PRS Test版で利用可能であり、間もなく最新化PRS(新版)でも利用可能になります。ユーザーはPRS Test版で利用可能なResultsセクション・モジュールを試して、ClinicalTrials.gov PRSに感想を伝えることをお勧めします。詳細は最新の「Release Notes」(2024年11月26日)をご覧下さい。

5. 欧州EMAのガイダンスとニュース

EMAは、「Improving efficiency of approval process for new medicines in the EU」(EUにおける新薬承認プロセスの効率化)に関するQ&Aセッションを、2024年12月5日に開催します。本セッションでは、EUにおけるMAA(販売承認申請)や、申請期限を守るために企業が直面する課題を取り上げるとともに、審査・承認プロセスの効率化に向けたEMAの取り組みや、企業が申請計画を立てる際に役立つツールや推奨事項を紹介します。

6. リアルワールドデータ

6.1 中国におけるリアルワールドエビデンス(RWE)活用方針の策定とユースケースについては、Du氏と Han氏による記事「Evolving Policies and Use of RWE in Regulatory Decisions in China」(中国規制当局の意思決定におけるRWEの活用方針と活用の進化)をお読み下さい。

6.2 英国は、国内の健康データの現状を概観した「Uniting the UK’s Health Data: A Huge Opportunity for Society」(英国の健康データの統合:社会にとって大きなチャンス)を発表しました。この報告書は、英国全土の多数の健康関連データソースについて、広範な概要を示しています。

7. EMAの臨床試験データ公開(EMA Policy 0070)

2024年11月14日、EMAは臨床試験データ公開(Policy 0070)の再開に向けた次のステップに関するウェビナー「Clinical Data Publication (Policy 0070) webinar — Step 2」(臨床試験データ公開 [Policy 0070]ウェビナー — ステップ2)を開催しました。プレゼン資料とビデオ録画がこちらで公開されています。提案されているステップ2の概要は以下の通りです。

  • 2025年第2四半期以降(正確な日付は未定。2025年4月以降の予定)、否定的意見や取り下げられた申請、ライン延長、主要な臨床タイプIIバリエーション(適応拡大)を含むすべての新たなMAA(販売承認申請)
  • バイオシミラー、ハイブリッド、ジェネリック医薬品をすべて除外
  • 新型コロナ対策と、今後発生する可能性のある新たな公衆衛生上の緊急事態の継続
  • 外部ガイダンス:2025年初頭発出に向けて検討中
  • 質疑応答(Q&A)文書:2023年7月公開。2025年更新予定
  • カナダ保健省との協働によるプロセス提携:ワークシェア。redaction proposal packageの単一レビューの試行
  • レガシー臨床データの公開に関するEMAの提案:要請(access-to-documents request)に応じて公開

8. 開発戦略ニュース

8.1 Higginsらは論文「Considerations for open-label randomized clinical trials: Design, conduct, and analysis」(オープンラベル・ランダム化比較試験に関する検討事項:デザイン、実施、解析)を発表しました。著者らは、最高レベルの試験のインテグリティと試験結論の信頼性を担保するために、オープンラベル試験をどのようにデザイン、実施、解析するのが最善か論じています。

8.2 TransCelerate社とCDISCは、ウェビナー「Digital Data Flow (DDF) Solution Showcase」を2024年12月5日に共催します。これは、治験プロトコルのデジタル化ソリューションに関するシリーズのウェビナー第2弾です。

訳注)CDISC:Clinical Data Interchange Standards Consortium。臨床試験データなどの電子的収集・交換・申請に関して業界標準を策定している国際的な非営利組織。1997年に米国で設立され、国内外のアカデミアや製薬企業、CRO、IT企業などが参加。CDISCが規定する標準規格は「CDISC standard」(CDISC標準)と呼ばれている。

9. 人工知能・機械学習

英国科学技術イノベーション省(DSIT)は、「AI Management Essentials (AIME) Tool」に関してパブリックコメントの募集を開始しました。AIMEは、組織が開発または使用するAIシステムの管理に関してグッドプラクティスのベースラインを確立するための実践的な手順について、組織に明確な情報を提供するリソースです。

10. アジア規制当局のニュース

平川らは論文「Planning and Implementing Master Protocol Trials in Japan: Key Considerations of the Japanese Guideline」(日本におけるマスタープロトコル試験の計画と実施:日本のガイドラインの主な留意事項)を発表しました(注:有料記事です)。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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CORE Reference News 2024年11月15日号

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  • CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(米国FDAの生物製剤評価研究センター)
  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国FDAの医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(EU臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(EU臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. CORE Reference Teamからのお知らせ

CORE Referenceウェビナーを開催する運びとなりましたのでご案内いたします。

  • 日時:2024年12月4日(水)12:30~13:45(中央ヨーロッパ夏時間)
  • テーマ:EMA Policy 0070事例紹介 – Voydeya
    (訳注:ボイデヤ® [一般名:ダニコパン]。発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療薬)
  • 演者:CORE Reference TeamのRaquel Billiones氏とAlison McIntosh氏
  • 申込方法:欧州メディカルライター協会(EMWA)本部(membership@emwa.org)までメールでお申し込み下さい。

<ウェビナー概要>
2024年春に申請を完了し、2024年6月26日に臨床データが公開されたVoydeyaの例を用いて、EMA Policy 0070 Anonymisation Report(AnR:匿名化報告書)の作成について概説し、適切な匿名化手法の選択などについて議論します。主なトピックは以下の通りです。

  • EMA Policy 0070 AnRおよび関連する匿名化手法の概要
  • Voydeyaの申請で浮き彫りになった希少疾患特有の問題点
  • 臨床データの有用性を維持する上での課題
  • EMAとのコミュニケーションの振り返り(申請前相談を含む)
  • Voydeyaの匿名化プロセスから得られた学び

※過去の関連ウェビナー:2024年6月7日に開催したCORE Referenceウェビナーでは、EMA Policy 0070 AnRテンプレートをご紹介しました。詳細は、こちらでスライドNo. 21~37とビデオ録画の30~58分をご覧下さい。

2. ICH

ICH総会が2024年11月5~6日にカナダのモントリオールで開催されました。総会に関するプレスリリース「ICH Assembly Meeting, Montréal, Canada, November 2024」では、ICH E6(R3)ガイドライン「医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)」のAnnex 2案が、ステップ2a/bに到達して総会で承認されたことなどが報告されています。Annex 2は、多様な試験デザインやデータソースの利用増加に伴って生じるGCPの考慮事項を取り上げ、分散型臨床試験やプラグマティック臨床試験、リアルワールドデータ(RWD)を活用する臨床試験の各例に焦点を当てています。

3. EU CTRとCTIS

3.1 次回のCTISショート説明会は2024年11月20日16:00~17:00(中央ヨーロッパ時間)に開催予定で、対象は製薬企業、CRO、中小企業(SME)、アカデミアなど、すべての治験依頼者です。事前の参加申込は不要で、EMAの公式サイトからライブ配信をご覧になれます。

3.2 フィンランド医薬品庁(Fimea)は、CTISに移行していない臨床試験に対する措置を発表しました。2025年1月30日までに試験をCTISに移行できない場合、2025年1月31日以降は違法となり、Fimeaは試験を中断させます。CTISに移行すべき試験を2025年1月30日までに移行していない場合に従うべき手順が、「Fimea has defined further measures for non-transferred clinical trials」で詳しく説明されています。

3.3 Sharma氏らによるRAPSオープンアクセス記事「The emerging transparency paradigm for clinical trials in Europe」(欧州の臨床試験における新たな透明性パラダイム)は、EU透明性規則の対応方法についてグローバルな視点で論じています。

訳注)RAPS(Regulatory Affairs Professionals Society:薬事専門家協会):医薬品や生物製剤、医療機器、デジタルヘルスなどの規制に携わる専門家の世界最大の組織。1976年に米国で設立され、国内外の規制当局やアカデミア、製薬・医療機器業界などの専門家により、レギュラトリーサイエンスの情報交換や教育を実施。

4. 英国とMHRAのニュース

4.1 英国国民保健サービス(NHS)の医療研究機構(HRA)は、NHS Research Scotland、HSC Northern Ireland、Health and Care Research Walesと共同で、「Carrying out research across borders」(国境を越えた研究の実施)ツールキットを作成しました。このキットは、NHS内や、英国内の複数の構成国にまたがる医療・社会福祉環境下で、研究を立ち上げて実施する研究者向けに作成されています。

4.2 2024年11月12日、英国の治験・臨床研究登録機関ISRCTNレジストリは、公式サイトのユーザーインターフェイスの更新を発表しました。今回の更新でアクセシビリティの標準規格の準拠が強化され、ユーザーエクスペリエンス向上のため視覚的な変更が複数行われました。詳しい更新内容は「What’s new on the ISRCTN registry?」をご覧下さい。

5. 米国FDAのガイダンスとニュース

5.1 FDAと米国デューク大学のデューク・マーゴリス医療政策センターは、無料のハイブリッド式公開ワークショップ「Optimizing Use of Real-World Evidence in Regulatory Decision-Making for Drugs and Biological Products」(医薬品・生物学的製剤に関する規制当局の意思決定におけるリアルワールドエビデンス [RWE] 活用の最適化)を、2024年12月12日12:30~17:00(米国東部時間)に開催します。FDAのRWEプログラムに関する最近の成果や、現状と課題、将来に向けた取り組みに焦点を当てます。参加申込期限は2024年12月6日です。

5.2 米国国立医学図書館(NLM)は「Report on the ClinicalTrials.gov Modernization Effort」(ClinicalTrials.gov最新化の取り組みに関する報告書)を発表しました。この報告書には、最新化されたClinicalTrials.govとPRS(Protocol Registration and Results System:プロトコル登録・結果システム)の両サイトの最新情報や、今後の最新化活動の計画が示されています。

5.3 2024年10月8日にNLMが開催したウェビナー「Introduction to the Modernized PRS」(最新化されたPRSの紹介)のビデオ録画と講演録(文字起こし)が公開されました(訳注:スライドも公開されています)。このウェビナーでは、最新化されたPRSの機能が紹介され、操作方法がユーザーに示されました。

6. リアルワールドデータ

第5回EMA/HMA Big Data Stakeholder Forumが11月28日9:00~17:30(アムステルダム時間)に開催されます。アジェンダと申込方法はリンク先をご覧下さい。

7. EMAの臨床試験データ公開(EMA Policy 0070)

7.1 Real Life Sciences社は、無料の公開ウェビナー「Best Practices for Clinical Data Anonymization Using the Quantitative Methodology」(定量的手法を用いた臨床データ匿名化のベストプラクティス)を、2024年11月21日に開催します。このウェビナーでは匿名化の定量的手法を検討するとともに、プライバシーモデルや匿名化技術、参照母集団、再識別リスク、情報損失、敵対的攻撃者モデルなどに関するベストプラクティスを考察します。

7.2 2024年11月14日、EMAは臨床試験データ公開(Policy 0070)の再開に向けた次のステップに関するウェビナー「Clinical Data Publication (Policy 0070) webinar — Step 2」(臨床試験データ公開 [Policy 0070]ウェビナー — ステップ2)を開催しました。プレゼン資料とビデオ録画はまだ公開されていませんが、近日中にこちらで公開予定です。(訳注:スライドが11月15日に公開されています)

8. 開発戦略ニュース

8.1 WHO(世界保健機関)は、月刊ニュースレター「Global Clinical Trials Forum (GCTF) Newsletter」を創刊しました。毎月、臨床試験(インフラと環境)の強化に関して最新情報や知見を提供します。ニュースレター創刊号(2024年10月号)はこちらでご覧頂けます。購読はこちらからお申し込み下さい。

8.2 2024年11月24日、ACT EUは「Mandate of the ACT EU Steering Group」(ACT EU運営部会の役割)を発表しました。

訳注)ACT EU(Accelerating Clinical Trials in the EU):欧州での臨床試験の開始・設計・実施方法を革新して、高品質で有効・安全な医薬品の開発を促進することや、臨床研究を医療制度へさらに組み込むことなどを目的として、欧州委員会とEMAとHMAの三者が共同で始めた取り組み。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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CORE Reference News 2024年10月15日号

【CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(米国FDAの生物製剤評価研究センター)
  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国FDAの医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(EU臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(EU臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. CORE Reference Teamからウェビナーのお知らせ

この度CORE Referenceウェビナーを開催する運びとなりましたのでご案内いたします。

  • 日時:2024年12月4日(水)12:30~13:45(中央ヨーロッパ夏時間)
  • テーマ:EMA Policy 0070事例紹介 – Voydeya
    (訳注:ボイデヤ® [一般名:ダニコパン]。発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療薬)
  • 演者:CORE Reference TeamのRaquel Billiones氏とAlison McIntosh氏
  • 申込方法:欧州メディカルライター協会(EMWA)本部(membership@emwa.org)までメールでお申し込み下さい。

<ウェビナー概要>
2024年春に申請を完了し、2024年6月26日に臨床データが公開されたVoydeyaの例を用いて、EMA Policy 0070 Anonymisation Report(AnR:匿名化報告書)の作成について概説し、適切な匿名化手法の選択などについて議論します。主なトピックは以下の通りです。

  • EMA Policy 0070 AnRおよび関連する匿名化手法の概要
  • Voydeyaの申請で浮き彫りになった希少疾患特有の問題点
  • 臨床データの有用性を維持する上での課題
  • EMAとのコミュニケーションの振り返り(申請前相談を含む)
  • Voydeyaの匿名化プロセスから得られた学び

※過去の関連ウェビナー:2024年6月7日に開催したCORE Referenceウェビナーでは、EMA Policy 0070 AnRテンプレートをご紹介しました。詳細は、こちらでスライドNo. 21~37とビデオ録画の30~58分をご覧下さい。

2. 英国とMHRAのニュース

2024年10月15日、MHRAは、英国国民保健サービス(NHS)の医療研究機構(HRA)と共同で、ウェビナー「Implementing the new UK Clinical Trials regulations」(英国の新たな臨床試験規制の施行)を開催しました。このウェビナーでは、ガイダンス案をステークホルダーと共有する共同計画が紹介されるとともに、新たな規制の施行に向けて予想されるスケジュールが明らかにされました。ウェビナーのビデオ録画が後日公開される予定です。

3. 米国FDAのガイダンスとニュース

3.1 臨床試験登録サイトClinicalTrials.govのProtocol Registration and Results System(PRS:治験プロトコル登録・結果システム)新版に関して、最新の「Release Notes」が2024年10月2日に発行され、Outcome Measures Moduleにおけるナンバリングの追加や、record access listの機能強化とリモデリングなどが説明されています。また、PRSの利用方法について解説したショートビデオ・シリーズ「Fast Forward from ClinicalTrials.gov」に、新たなデモンストレーション動画が2本追加されました。

3.2 FDAは最終ガイダンス「Electronic Systems, Electronic Records, and Electronic Signatures in Clinical Investigations: Questions and Answers」(臨床試験における電子システム、電子記録、電子署名:Q&A)を発表しました。本ガイダンスは、食品や医薬品、タバコ製品、新たな動物用医薬品の臨床試験における電子システム、電子記録、電子署名の使用に関する情報を、すべてのステークホルダーに提供するものです。

4. 欧州EMAのガイダンスとニュース

2024年9月24日、EMAは欧州委員会(EC)とHMAと共同で、「Joint EC/HMA/EMA multi-stakeholder workshop on pharmacogenomics」(ファーマコゲノミクスに関するマルチステークホルダー・ワークショップ)を開催しました。このワークショップのプレゼン資料とビデオ録画がこちらで公開されています。

5. 透明性・情報開示のリソースとニュース

PHUSEはデータの透明性に関するイベント「PHUSE Data Transparency Autumn event」を2024年9月17~19日に開催しました。このイベントのプレゼン資料とビデオ録画がこちらで公開されています。

訳注)PHUSE:Pharmaceutical Users Software Exchange。製薬企業やIT企業などのデータマネージメント、生物統計、電子臨床データ、毒性、病理、薬理などの各専門家ボランティアから成る国際的非営利組織。FDAやEMA、CDISCなどの規制当局・機関に対する業界代弁者。

6. 開発戦略ニュース

6.1 EUのHTA CG(Member State Coordination Group on Health Technology Assessment:医療技術評価に関するEU加盟国調整グループ)は、2024年7月4日付の「Guidance on the validity of clinical studies, Version 1.0」(for joint clinical assessments)(臨床試験の妥当性に関するガイダンス、バージョン1.0:共同臨床評価用)を、欧州委員会(EC)の公式サイトに掲載しています。本ガイダンスは、医療技術評価(HTA)の範囲内で、マスタープロトコルやリアルワールドデータ、リアルワールドエビデンス、レジストリなどを含む臨床試験デザインのハイレベルな概要を説明しています。

6.2 FDAは最終ガイダンス「Electronic Systems, Electronic Records, and Electronic Signatures in Clinical Investigations: Questions and Answers」(臨床試験における電子システム、電子記録、電子署名:Q&A)を発表しました。(訳注:前述の記事No.3.2参照)

6.3 FDAは無料の公開ウェビナー「Informed Consent — More than Just Another Document to Sign?」(インフォームド・コンセント:署名するだけの文書ではない?)を、2024年11月8日14~15時(米国東部時間)に開催します。主な内容は以下の3点です。

  • インフォームド・コンセント資料を、臨床試験の被験者候補にとってよりわかりやすく改善することを支援するFDAの取り組みの最新情報
  • インフォームド・コンセントを明確で理解しやすく提示する方法の提案
  • 被験者候補の治験参加・不参加の判断の支援において、インフォームド・コンセントの改善で得られる効果の検討

ウェビナー参加者は、参加申込ページから、またウェビナー開催中に、質問を提出することができます。

7. 人工知能・機械学習

7.1 DIA(Drug Information Association)は、無料の公開セッション「Leveraging AI to Transform Regulatory Medical Writing」(AIを活用したレギュラトリーライティングの変革)を、2024年10月23日午前8時(米国東部時間)に開催します。演者はYseop社のAxel Byrd Le Sage氏です。
(訳注:Yseopは、フランスを拠点とするAIソフトウェア企業。生成AIによる治験文書作成の自動化などが専門。)

このセッションでは、特に臨床試験において、AIがメディカルライティングにどのような変革をもたらしているかを探ります。また、AIツールによって、主な治験文書(治験総括報告書 [CSR] や有害事象の叙述 [narrative] など)の作成作業を自動化し、ワークフローを合理化し、規制要件の準拠を強化する方法を紹介します。さらに、AIを既存のメディカルライティングのプロセスに組み入れて効率と正確性を向上させる実践的な戦略と実例も紹介します。詳細はpooja.phogat@krystelis.comまでお問い合わせ下さい。
(訳注:参加申込はこちらで受け付けています)

7.2 2024年7月、Neyarapally GAらは論文「Description and Validation of a Novel AI Tool, LabelComp, for the Identification of Adverse Event Changes in FDA Labeling」(FDAのラベリングにおける有害事象変更を検出するための新たなAIツール「LabelComp」の説明と検証)を発表しました。この論文は、市販後の医薬品安全性調査をサポートするAIについて説明するとともに、医薬品ラベリングの安全性関連情報の変更を研究者が効率的に特定・分析できるようにFDAが作成・検証した新たなAIツールについて論じています。

7.3 2024年9月9日、EMAは最終ガイダンス「Reflection paper on the use of artificial intelligence in the medicinal product lifecycle」(医薬品ライフサイクルにおけるAI活用に関するリフレクションペーパー)を発出しました。本リフレクションペーパーは、創薬から承認後まで、医薬品開発の様々な段階におけるAIと機械学習(ML)の適用に関する原則を示しています。

7.4 Reisらの論文「Influence of believed AI involvement on the perception of digital medical advice」(AIの関与がデジタル医療アドバイスの認識に与える影響)では、AIツールに対する一般市民の認識について考察しています。著者らの研究結果は、医師がAIを監督しているとされる場合でも、デジタル医療アドバイスを受ける際に「反AIバイアス」が生じることを示しています。

7.5 Brightwellらの論文「Trust and Inclusion in Digital Health: The Need to Transform Consent」(デジタルヘルスにおける信頼とインクルージョン:同意の変革の必要性)は、データ保護の規制と、デジタル変革の取り組み(健康アプリや、遠隔医療、患者の同意の重要性など)との相互作用について考察しています。著者らは、「健康アプリでユーザーの同意を求めるインターフェースは、プライバシーに敏感な人々のデジタルヘルスにおける信頼とインクルージョンに影響を与える可能性がある」と述べています。

8. アジア規制当局のニュース

8.1 PMDAはYouTubeに公式チャンネル「PMDA Channel」を開設しており、日本の医薬品・医療機器の規制に関して様々なコンテンツを配信しています。英語のコンテンツもあり、最近公開された英語動画「Regulatory Approach to Software as a Medical Device (SaMD) in Japan」(日本における医療機器プログラム [SaMD] の規制アプローチ)では、日本でのSaMDの定義、分類、一般的な審査ポイントが紹介されています。

8.2 香港のMDACS(Medical Device Administrative Control System:医療機器管理規制システム)は、Department of Health(香港衛生署)のMedical Device Division(医療機器課)が運営しており、医療機器のリスティング・システムと有害事象報告制度を監督しています。MDACSに関する最新のガイダンスノート「Overview of the Medical Device Administrative Control System, Edition 7」(MDACSの概要:第7版)(2024年9月30日付)では、セクション5.14「Validity of Listing Approval」(リスティング承認の効力)と、セクション5.15「Application Renewal」(申請更新)が改訂されています。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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