CORE Reference News 2024年4月15日号

CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • EudraCT:European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. CORE Reference Teamからのお知らせ

欧州メディカルライター協会(EMWA)の第57回総会が、2024年5月7~11日にスペインのバレンシアで開催されます。「EMWAシンポジウム・デー」である5月9日(木)の午前9:00~10:30に、CORE Reference Teamは対面式の無料オープンセッションを開催します。シンポジウムに参加登録済みの場合、同時にCORE Refenceのセッションに参加登録することはできませんが、当日セッション会場にお越し頂ければ、登録なしでご参加頂けます。なお、参加予定人数を把握するため、参加希望のご意向を事前にemwaconference@emwa.orgまでお知らせ頂けると幸いです。本セッションでは下記についてご説明する予定です。

  • 臨床試験データ開示に対応した治験総括報告書(CSR)の作成における『CORE Reference』の価値と、CPD(Continuous Professional Development:継続的専門能力開発)のリソース
  • EMA Policy 0070(臨床試験データ公開)試験結果提出の現実:計画したタイムラインと実際のタイムラインの比較など
  • EMA Policy 0070(臨床試験データ公開)の再開:Anonymisation Report(匿名化報告書)テンプレートと完成の洞察
  • 医療機器に関するCPD:医療機器と医薬品の融合など
  • CORE Reference 2023年利用調査結果の概要
  • 最新情報:改正CTIS透明性規則と新たなCTISウェブサイトの2024年6月開始や、医薬品販売承認申請(MAA)書類中の個人情報(PPD)と商業機密情報(CCI)に関する新ガイダンス案など

2. EU CTRCTIS

2.1 EMAは「Revised CTIS transparency rules, historical trials and interim period: Quick Guide for Users」(改正CTIS透明性規則、過去の臨床試験、暫定期間: ユーザー向けクイックガイド)を更新しました。以下の3つのセクションが新たに追加されています。

  • Historical trials(CTISの新公式サイト公開前にCTISに提出された臨床試験)
  • Interim period approach(CTISの新公式サイト公開までの暫定措置)
  • Revised CTIS transparency rules: useful material(改正CTIS透明性規則の関連資料)

2.2 2024年3月25日にEMAが開催した「Clinical Trials Information System Webinar: Last Year of Transition」(CTISウェビナー:移行最後の年)の録画ビデオが公開されました。

2.3 EMAは2024年4月24日15:30~17:00(中央ヨーロッパ夏時間)に、CTISショート説明会「alternate Investigational Medicinal Product Dossier – Quality (IMPD-Q) and new guidance on Auxiliary Medicinal Products (AxMP)」(代替治験薬書類–品質(IMPD-Q)および補助医薬品(AxMP)に関する新ガイダンス)を開催します。参加者はSlido経由でコード「#bt24apr」を使用して、4月17日まで事前の質問を提出できます。

2.4 EMAは、新たなCTISに対応する治験依頼者の準備をサポートするため、オンライン研修プログラム「CTIS sponsor end user training programme」(CTIS治験依頼者エンドユーザー研修プログラム)をユーザーに提供しています。次回の研修は2024年6月に開催予定で、参加申込の受付がこちらで始まっています。

2.5 2024年4月11日、欧州委員会の公式サイトの「Newsroom」ページは次のように報じました。「改正CTIS透明性規則は2024年6月18日に発効し、それに伴ってCTISウェブサイトの新バージョンが開設されます。改正CTIS透明性規則は、情報の透明性と商業上の機密情報(CCI)の保護とのバランスを取っています。改正された規則に合わせてビジネスプロセスを調整することを治験依頼者に推奨します。」(訳注:この情報が掲載されたウェブページは、現在削除されています) 詳細な情報がEMAから近日中に発表されることが予想され、臨床試験用の新たなEU公共ポータル(Policy 0070)も同時に発表される可能性があります。改正CTIS透明性規則と重要な関連情報の概要については、EMA ACT EU公式サイトの「Implementation of the Clinical Trials Regulation」(CTRの実施)で確認できます。

3. EUの規制

EUイノベーション・ネットワークはACT EUと共同で、無料のウェビナー「Simultaneous National Scientific Advice (SNSA)」(全欧同時科学的助言)を2024年4月19日に開催します。本ウェビナーではSNSAの試験的導入について深く掘り下げ、SNSAの利点を理解し、新薬の開発プロセスの効率化について学ぶことができます。対象は大手製薬企業、中小企業(SME)、アカデミアなどです。本ウェビナーはライブ配信された後、録画ビデオが60日以内に公開される予定です。事前の質問は、Slido経由で4月12日まで受け付けています。

訳注1)ACT EU(Accelerating Clinical Trials in the EU):欧州での臨床試験の開始・設計・実施方法を革新して、高品質で有効・安全な医薬品の開発を促進することや、臨床研究を医療制度へさらに組み込むことなどを目的として、欧州委員会とEMAとHMAの三者が共同で開始したイニチアチブ。

訳注2)SNSA (Simultaneous National Scientific Advice):欧州の複数の国の各規制当局に、医薬品開発者が同時に科学的助言を求めることを可能にする制度。現在は試験的導入の第2期(phase 2)。

4. 英国とMHRAのニュース

4.1 英国のEU離脱後、2022年5月にMHRAはICHの正会員となりましたが、現在MRHAが適用中のICHガイドラインのリスト「Directory of current ICH Guidelines which have been implemented by the Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency」が公開されました。本リストは、MHRAが新たなICHガイドラインを適用すると更新されます。

4.2 英国国民保健サービス(NHS)医療研究機構(HRA)の公式サイトの「Make it Public campaign」ページでは、2024年3月に開催された「Make it Public week」(研究開示啓発週間)のハイライトが紹介されています。「Make it Public」キャンペーンは、研究をすべての人に対してオープンでアクセス可能なものにするための啓蒙活動で、臨床試験登録率100%の実現を目指しています。

5. 欧州EMAのガイダンスとニュース

HMAとEMAは「HMA/EMA draft guidance document on the identification of personal data and commercially confidential information within the structure of the marketing authorisation application (MAA) dossier」(医薬品販売承認申請 [MAA] 書類中の個人情報と商業機密情報 [CCI] の特定に関するガイダンス文書案)を発表しました。2024年4月12日から6月28日までこちらでパブリックコメントを募集しています。

6. リアルワールドデータ

6.1 PHUSEリアルワールドエビデンス(RWE)・ワーキンググループのプロジェクト「Best Data Practices for Rare Disease Patient Foundations and Researchers」(希少疾患の患者団体と研究者のためのベスト・データ・プラクティス)は、新たにポスター「Ensuring Registry Data Relevance and Reliability for Regulatory Use」(規制当局が使用するレジストリデータの妥当性と信頼性の確保)を発表しました。本ポスターの内容は、(1)データガバナンスとデータインテグリティ(完全性)、(2)目的に適したデータ、(3)セキュリティとプライバシーの3点です。

訳注)PHUSE:Pharmaceutical Users Software Exchange。製薬企業やIT企業などのデータマネージメントや生物統計、電子臨床データ、毒性、病理、薬理などの各専門家ボランティアから成る国際的非営利組織。FDAやEMA、CDISCなどの規制当局・機関に対する業界代弁者。

6.2 DARWIN EU(Data Analysis and Real-World Interrogation Network:データ分析・リアルワールド質問ネットワーク)は、RWE生成のためのデータパートナーを今年新たに10件募集しています。DARWIN EUが患者のためにRWDをどのように利活用しているかについては、ファクトシート「2 Years of Experience, DARWIN EU: Making health data count」(DARWIN EU、過去2年間の実績:医療データの価値向上)をご覧下さい。

訳注)DARWIN EU:EU全域のリアルワールド医療データベースから、ヒト用医薬品・ワクチンの使用、安全性、有効性に関して信頼性が高くタイムリーなエビデンスを、EMAとEU加盟国の規制当局に提供するために、EMAと欧州医薬品規制ネットワークが2021年に設立した組織。

6.3 EMAは「Guidance on real-world evidence provided by EMA: Support for regulatory decision-making」(EMAが提供するRWEに関するガイダンス:規制上の意思決定支援)を発表しました。本ガイダンスは、(1)RWDの分析から得られるRWEが、規制上の意思決定にどのように役立つか、(2)実施可能な研究の種類、(3)研究課題の解決に最適なリソースを見極めるためにEMAがどのように支援できるかの3点について概説しています。

7. 透明性・情報開示のリソースとニュース

7.1 PHUSEのデータ透明性ワーキンググループ内のEU CTR実装プロジェクトは、EU CTR実装に関して最新ブログ「EU CTR Update: Year 2」(EU CTRの最新情報:実装2年目)を発表しました。このブログは臨床試験の透明性に焦点を当て、治験依頼者の観点からCTR実装2年目の実績を概説しています。

7.2 TransCelerate社はウェビナー「Enabling Individual Participant Data Return (iPDR): An Overview of TransCelerate’s Individual Participant Data Return Package」(個別被験者データ返却(iPDR)の実現:TransCelerate社の個別被験者データ返却パッケージの概要)のスライドビデオ録画を公開しました。臨床試験の被験者に提供する被験者本人の治験データには、下記の情報などが含まれます。

  • 臨床試験の全期間中(登録期間・スクリーニング期間を含む)に被験者から得られた個人レベルの被験者データ(医療健康データなど)
  • 治験プロトコルや評価・活動スケジュールに規定された試験方法で得られた被験者個別情報と検査結果(ただし、試験結果を構成しないもの)
  • 臨床試験中に被験者の検体から得られた被験者個別情報と検査結果

7.3 El Emamらはオープンアクセス論文「An evaluation of the replicability of analyses using synthetic health data」(合成医療データを用いた分析の再現性の評価)を発表しました。本論文は、医療データの共有を目的としたプライバシー保護技術としての合成データ生成の利用について解説し、その再現可能性を検証しています。

8. 開発戦略ニュース

8.1 Allucent社のブログ記事「Best Practices in Clinical Study Protocol Writing」(治験実施計画書の最も効果的なライティング)は、治験プロトコル作成へのアプローチの仕方の概要・ガイドを示しています。主なポイントは、(1)自分の担当範囲を把握すること、(2)試験のアウトライン(概要)を、活動(試験関連イベント)のスケジュールとともに早期に作成すること、(3)試験の目的とエンドポイントを明確に決めること、(4)プロトコルの利用者(治験責任医師、治験実施施設のスタッフ、規制当局、試験担当者など)を念頭に置いて、内容を構成・執筆することなどです。

8.2 Allucent社のウェビナー「Sample Size Re-Estimation: Risk Mitigation at the Planning Stage」(サンプルサイズの再推定:計画段階におけるリスク軽減)のビデオ録画は、臨床試験のサンプルサイズ設計戦略の全体像を詳しく説明しています。(十分な検出力やpatient enrichmentなどを目的として)サンプルサイズ再推定の実施が一般的になりつつある中、再推定の意味を理解することは、プロトコル作成に携わる全ての関係者にとって有益です。本ウェビナーでは、サンプルサイズ再推定のタイプ、盲検下の再推定と非盲検下の再推定の違い、オペレーション上と規制上の留意点について解説しています。

8.3 Nguyenらの総説論文「Regulatory Issues of Platform Trials: Learnings from EU-PEARL」(プラットフォーム試験の規制上の問題:EU-PEARLからの学び)は、プラットフォーム試験のマスタープロトコル作成時の留意点に関して最新の評価を提示しています。主な論点は試験デザイン(例:多重比較のための多重性調整)、申請時の留意点、規制当局とのコミュニケーション、医療技術評価(HTA:health technology assessment)、統計上の課題などです。また、本論文は、CTIS(EU-CTR)に提出された最初のプラットフォーム試験の1つであるEU-SolidAct試験の事例を簡単に紹介しています。

訳注)EU-PEARL(EU-Patient Centric Clinical Trial Platforms):患者中心で効率的な臨床試験を目指し、Innovative Medicines Initiative(IMI)から資金提供を受けて2019年に開始された官民共同プロジェクト。患者や医師、研究者、規制当局、産業界を各々代表する36組織が協力して、欧州における患者中心のプラットフォーム試験の設計や実施を支援するツールなどを開発。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
→ 詳しいプロフィールはこちら

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CORE Reference News 2024年3月30日号

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治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

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【略語リスト】(アルファベット順)

  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • EudraCT:European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

1. CORE Reference Teamからのお知らせ

欧州メディカルライター協会(EMWA)の第57回総会が、2024年5月7~11日にスペインのバレンシアで開催されます。この総会でCORE Reference Teamは、5月9日(木)午前9:00~10:30に対面式の無料オープンセッションを開催します。

本セッションでは、CORE Reference Teamが提供しているContinuous Professional Development(CPD:生涯スキル開発)のリソースを紹介するとともに、『CORE Reference』が治験総括報告書(CSR)のコンテンツについて提示しているガイダンスが、適切で世界的に通用する根拠を説明します。また、医薬品の臨床データ公開に関するEMA Policy 0070の新たな「Anonymisation Report」(匿名化報告書)テンプレートのレビューなど、規制当局への臨床試験結果報告や試験情報開示の状況全般に関して重要な最新情報を紹介します。さらに、2023年12月に実施した「CORE Reference 2023 Utility Survey」(CORE Reference 2023年利用調査)の最新情報もお知らせする予定です。

EMWA総会に参加される方は、ぜひCORE Reference Teamのオープンセッションにもご参加下さい。なお、医薬品開発を取り巻く規制状況は急速に変化しているため、本セッションの内容は、試験報告の規制に関する重要な最新情報などを反映して変更される場合があります。

2. EU CTRCTIS

2.1 HMAのCTCG(Clinical Trials Coordination and Advisory Group:臨床試験調整諮問グループ)は、「CTCG Best Practice guide for sponsors of multinational clinical trials with different Part I document versions approved in different Member States under the Directive 2001/20/EC that will transition to the Regulation (EU) No. 536/2014」(EU臨床試験規則No.536/2014に移行するEU臨床試験指令2001/20/ECの下、異なるEU加盟国で承認されたPart I文書のバージョンが異なる国際共同試験の試験依頼者のためのCTCGベストプラクティス・ガイド)のバージョン4(2024年3月7日付)を発表しました。今回の主な改訂点は以下のとおりです。

  • 治験依頼者は、臨床試験指令(EU CTD)から臨床試験規則(EU CTR)への移行をCTISに申請する際に臨床試験のカテゴリーを提案する必要があるが、「low-intervention clinical trials」(低介入試験)には申請しないこと。
  • 特定の状況におけるCTIS申請の詳細:(1)治験依頼者が治験薬(IMP)の製品所有者ではない場合、(2)IMPと補助薬(AxMP)に対する推奨事項、(3)EU CTDの下、一部のEU加盟国では介入試験とみなされていたが、他のEU加盟国では非介入試験とみなされていた場合。
  • EU CTDに基づく臨床試験について、EU加盟国すべてではなく一部が移行に含まれる場合のEU CTRアーカイブ規則と試験終了届。

2.2 2024年2月29日に開催されたCTISショート説明会「How to submit transitional trial in CTIS」(CTISでの移行試験の申請方法)の録画ビデオが公開されました。

2.3 CTCGは勧告書「Recommendation paper on principles of Good Laboratory Practices (GLP) for clinical trial applications under the EU Clinical Trials Regulation」(CTRに基づく臨床試験申請のためのGLPの原則に関する勧告書)を発表しました。また、必要なGLP遵守情報を治験依頼者が記載する表のテンプレートも公開されました。

2.4 EMAは「Clinical Trials Information System Webinar: Last Year of Transition」(CTISウェビナー:移行最後の年)と題したinformation dayを2024年3月25日に開催しました。本イベントのビデオ録画がこちらで近日公開予定です。

2.5 EMAは「EMA Management Board: highlights of March 2024 meeting」(EMA経営委員会:2024年3月開催の会議のハイライト)を公開しました。EU CTRについては、以下のように述べています。「EMAは、EUにおける臨床試験の今後のマイルストーンに関する最新情報を経営委員会に提供しました。欧州委員会は、EU加盟国と治験依頼者がCTISを効率的に利用できるよう、CTISに関するEMAの重要な近代化・簡素化作業を承認しました。CTISの改正透明性規則は、CTISに技術的に実装された後に適用されます。CTRの適用開始時に始まった3年間の移行期間は、2025年1月30日に終了します。CTISに移行予定の臨床試験のうち20%が移行済みです。治験依頼者には、承認手続きに最大3ヶ月要することを考慮して可能な限り早く申請書を提出するよう強く勧めます。」

2.6 「CTCG Best Practice Guide for sponsors – first substantial modification Part I after CTR transition」(治験依頼者用のCTCGベストプラクティス・ガイド:CTR移行後の最初の大幅な変更Part I)(2024年3月19日付、バージョン1.0)が新たに発表されました。本ガイドは、CTR移行後の臨床試験の「substantial modification (SM)」(大幅な変更)に関して、どの文書を更新すべきか、従来よりも詳しいガイダンスを示しています。また、SM申請用カバーレターのテンプレートSM説明書用のテンプレートなど、SM申請に必要な情報をまとめるのに役立つテンプレートが提供されています。

3. EUの規制

3.1 EU薬事法の改正

3.1.1 2024年3月19日、欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会は、EU薬事法の改正に関する見解を採択しました。提案されている新たな規制は、以下のような主要な現行法を改正または廃止するものとなっています。

  • 規制(EC)No 1394/2007(先端医療医薬品 [ATMP])
  • 規制(EU)No 536/2014(EU CTR)
  • 規制(EC)No 726/2004(医薬品の承認)
  • 規制(EC)No 141/2000(オーファン医薬品)
  • 規制(EC)No 1901/2006(小児用医薬品)

国会議員は2024年4月10~11日の本会議でこの見解について討議し、採決を行う予定です。

欧州製薬団体連合会(EFPIA)はこの進展を歓迎し、声明「Research based pharmaceutical industry calls on European Commission to develop comprehensive health and life science strategy」(研究を基盤とする製薬業界は欧州委員会に対して、包括的な医療・ライフサイエンス戦略の策定を求める)を発表しました。「この目的は、欧州が医療の研究開発の中心地としての地位を取り戻し、革新的な治療法や医療技術を欧州の患者が真っ先に利用できるようにすることであるべき」と述べています。

3.1.2 EMAは「Guideline on quality, non-clinical and clinical requirements for investigational advanced therapy medicinal products in clinical trials」(臨床試験における治験用先端医療医薬品 [ATMP] の品質要件、非臨床要件、臨床要件に関するガイドライン)の改正案を発表しました。本案は遺伝子治療医薬品、体細胞治療医薬品、組織工学医薬品、combined ATMP(訳注:医療機器と組み合わせたATMP)を対象としています。パブリックコメントは2024年5月31日まで受け付けています。(訳注:後述のセクション4.2にも同ガイドライン改正案の情報があります。ご興味のある方は併せてご覧下さい)

3.2 欧州医療データスペース

2024年3月15日、欧州理事会と欧州議会は、欧州医療データスペース(EHDS)に関して政治合意に達しました。この新しい法律により、EU全域で医療データの交換とアクセスが可能になるとともに、匿名化された特定のデータを研究やイノベーションに利用できるようになります。特筆すべきは、EHDSが、研究やイノベーション、公衆衛生の目的で医療データを再利用するための強力な法的枠組みを構築する点です。EHDSに関する新しいファクトシートはこちらからダウンロード可能です。

3.3 ACT EU

EMAは「Accelerating stakeholder collaboration to enhance the clinical trials environment in the EU」(EUの臨床試験環境強化に向けたステークホルダーの協力促進)と題するニュースを発表しました。「Accelerating Clinical Trials in the EU (ACT EU)」(EUの臨床試験の加速化)イニシアチブは、EUの臨床試験環境の強化に向け、主要な関係者(欧州委員会とEMAとHMA)を集めたマルチステークホルダー・プラットフォーム(MSP)を確立しました。MSPが検討するテーマは臨床試験のデザインと実施、統計解析、規制の最適化の提案、データの透明性、患者の参加などです。

訳注)ACT EU:欧州での臨床試験の開始・設計・実施方法を革新して、高品質で有効・安全な医薬品の開発を促進することや、臨床研究を医療制度へさらに組み込むことなどを目的としたイニチアチブ。2022年1月に欧州委員会とEMAとHMAの三者が共同で開始。詳細はこちらをご覧下さい。

4. 欧州EMAのガイダンスとニュース

4.1 Tavridouらは、ゲノム編集医薬品について、EUの医薬品規制上の留意点を掘り下げた論文「Genome-editing medicinal products: the EMA perspective」(ゲノム編集医薬品:EMAの視点)を発表しました。本論文はゲノム編集医薬品の種類と数、開発段階(前臨床、臨床前期、臨床後期)、申請者(大手製薬企業、中小企業 [SME])、規制当局とのコミュニケーションでよくある質問など、貴重な情報を提供しています。なお、本論文はオープンアクセスではありません。

4.2 EMAが2024年3月11日付で発表したガイドライン改正案「Guideline on quality, non-clinical and clinical requirements for investigational advanced therapy medicinal products in clinical trials」(臨床試験における治験用先端医療医薬品 [ATMP] の品質要件、非臨床要件、臨床要件に関するガイドライン)は、治験用ATMPを用いる探索的試験と検証的試験の臨床試験開始申請(CTA)の構成とデータ要件に関するガイダンスを提示しています。本案は治験用ATMPの開発から製造、品質管理、非臨床開発、臨床開発まで包括的に対応しています。(訳注:前述のセクション3.1.2にも同ガイドライン改正案の情報があります。ご興味のある方は併せてご覧下さい)

5. 英国とMHRAのニュース

HRA(Health Research Authority:医療研究機構)は、2022年に研究倫理委員会(REC)から好意的な意見(favourable opinion)を得た臨床試験をすべて掲載したリストと、これら試験の登録状況を「Clinical trial registration report 2022」(臨床試験登録報告書2022年版)で公開しています。治験依頼者は、RECから好意的な意見を得た後、WHOに準拠した臨床試験レジストリに試験を登録し、その詳細をHRAに報告することが望まれています。

6. 米国FDAのガイダンスとニュース

UAEM(Universities Allied for Essential Medicines、必須医薬品のための大学連合)の北米部会は2023年2月に、ClinicalTrials.govでの臨床試験結果開示の改善を求める市民嘆願をFDAに提出していました。この嘆願に対してFDAが回答書「Response letter from FDA OC to Morningside Heights Legal Services, Inc. (On behalf of Universities Allied for Essential Medicines North America)」を発表しました。UAEMの主な要請は、(1)試験結果の開示義務の強化、(2)強化措置の序列化に関するガイダンスの策定、(3)開示義務違反の事前通知書を公開するダッシュボードの導入の3点です。

(訳注:このうち、事前通知書の公開ダッシュボード導入の要請をFDAは受け入れ、2023年12月までに事前通知書の発行対象となった臨床試験責任者・組織131件の一覧表「Pre-Notice of Noncompliance」を公開しました。今後は四半期ごとに情報を追加するとしています)

訳注)UAEM:2001年に米国イェール大学の学生らが設立した非営利組織で、医薬品や医療技術への公平なアクセスなどを求めて活動する世界的な学生ネットワーク。20ヵ国100大学以上が参加し、北米部会以外に欧州部会とラテンアメリカ部会あり。

7. リアルワールドデータ

FDAはガイダンス案「Real-World Evidence: Considerations Regarding Non-Interventional Studies for Drug and Biological Products」(リアルワールドエビデンス:医薬品および生物学的製剤の非介入研究の留意事項)を公開しました。本案は、非介入研究(観察研究)を申請する治験依頼者に対し、薬剤の有効性の実質的なエビデンス(substantial evidence)や安全性のエビデンスの提示に役立つ推奨事項を提示することを目的としており、非介入研究で考慮すべきデザインと分析について解説しています。パブリックコメントは2024年6月20日まで受け付けています。

8. 透明性・情報開示のリソースとニュース

わかりやすい研究資料の作成に関心のある人や、臨床研究の被験者のために、一般向け医薬文書で使用する平易な言葉遣い(plain language)のグローバルスタンダードを、MRCTとCDISCが共同で作成しました。2024年4月2日12~13時(米国東部時間)に両者が共催するウェビナーでは、「MRCT Center Clinical Research Glossary: New Words New Opportunities」(MRCTセンター臨床研究用語集:新しい言葉、新しい機会)を取り上げ、患者向け資料用の用語160語、画像、リソースを紹介します。無料の参加申込の詳細はこちらをご覧下さい。

訳注)MRCT:Multi-Regional Clinical Trials Center of Brigham and Women’s Hospital and Harvard(ハーバード大学とブリガム&ウィメンズ病院の多地域臨床試験センター)。ブリガム&ウィメンズ病院は、米国ハーバード大学医学部の附属病院としての役割を担う医療・研究・教育機関の1つ。MRCTはハーバード大学とブリガム&ウィメンズ病院に属しており、国際共同試験の改善を目的とする研究・政策センター。

9. 人工知能・機械学習

9.1 InteliNotion社がLinkedInで公開しているホワイトペーパー「Accelerating regulatory Submissions — AI augmented structured content」(規制当局への申請の加速:AIによる構造化コンテンツ)は、人工知能(AI)テクノロジーを導入するバイオ製薬企業へのガイダンスの提供を目的とした視点を提示しています。

9.2 FDAは、AIに対する取り組みについて、「Harnessing the Potential of Artificial Intelligence」(人工知能の可能性の利用)と題する見解と、7頁の文書「Artificial Intelligence & Medical Products: How CBER, CDER, CDRH, and OCP are Working Together」(人工知能と医療製品:CBER、CDER、CDRH、OCP共同の取り組み)を発表しました。

(訳注:この文書は、AIを利用した医療製品とその開発・製造のイノベーション推進と、患者や医療従事者などの安全確保を両立させることに、FDAの4つの組織がどのように協調して取り組んでいるか説明しています)

訳注)CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(生物学的製剤評価研究センター)
CDER:Center for Drug Evaluation and Research(医薬品評価研究センター)
CDRH:Center for Devices and Radiological Health(医療機器・放射線保健センター)
OCP:Office of Combination Products(コンビネーション製品部)

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
→ 詳しいプロフィールはこちら

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  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
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  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. CORE Reference Teamからのお知らせ

欧州メディカルライター協会(EMWA)第57回総会が、2024年5月7~11日にスペインのバレンシアで開催されます。この総会でCORE Reference Teamは、5月9日(木)午前9:00~10:30に対面式の無料オープンセッションを開催します。

本セッションでは、CORE Reference Teamが提供しているContinuous Professional Development(CPD:生涯スキル開発)のリソースを紹介するとともに、『CORE Reference』が治験総括報告書(CSR)のコンテンツについて提示しているガイダンスが、適切で世界的に通用する根拠を説明します。また、医薬品の臨床データ公開に関するEMA Policy 0070の新たな「Anonymisation Report」(匿名化報告書)テンプレートのレビューなど、規制当局への臨床試験結果報告や試験情報開示の状況全般に関して重要な最新情報を紹介します。さらに、2023年12月に実施した「CORE Reference 2023 Utility Survey」(CORE Reference 2023年利用調査)の最新情報もお知らせする予定です。

EMWA総会に参加される方は、ぜひCORE Reference Teamのオープンセッションにもご参加下さい。なお、医薬品開発を取り巻く規制状況は急速に変化しているため、本セッションの内容は、試験報告の規制に関する重要な最新情報などを反映して変更される場合があります。

2. EU CTRCTIS

2.1 EU委員会は下記の3つのEU CTRガイダンス文書の改訂版を2024年3月1日に発表しました。

今回の改訂では、すでに製造販売承認を受けている補助薬(AxMP:auxiliary medicinal product)で承認に関連する変更がないものについては追加文書が不要であることと(製品特性概要 [SmPC] さえも不要)、補助薬はCTISの申請書に記載する必要がないことの2点が明示されました。この歓迎すべき明確化により、治験依頼者への要件がシンプルになります。

また、移行試験に関するガイダンスには、移行申請のPart II文書の国別要請一覧を含むAnnex(附属書)が追加されました。現在の一覧表では、必要な文書について記載されていない国が散見されますが、表中の国別情報が増えるにつれて、治験依頼者への要件が明確になることが期待されます。

2.2 「Quick Guide for Sponsors – Clinical Trials Regulation (EU) No 536/2014 in practice」(治験依頼者向けクイックガイド:臨床試験規則(EU)No. 536/2014の実務)の改訂版が2024年3月1日に発表されました。今回の改訂では、HMAのCTCG(Clinical Trials Coordination and Advisory Group:臨床試験調整諮問グループ)が2023年に発表した「CTCG Best practice on naming of documents」(文書名の付け方に関するCTCGベストプラクティス)最新版に合わせて更新されています。

3. EUの規制

EU薬事法の改正:欧州委員会は現行の薬事法の改正案を2023年4月に発表しました(Q&Aはこちらをご覧下さい)。改正の主な目的は以下のとおりです。

  • EU内での安全・有効で安価な医薬品へのタイムリーかつ平等なアクセスの確保
  • EUでの医薬品の研究・開発・製造のための魅力的かつイノベーションに適した規制の枠組みの提供
  • 医薬品の承認審査期間の短縮による、行政負担の大幅な軽減
  • 医薬品の安定供給と医薬品不足の緩和
  • 薬剤耐性への対処
  • 医薬品の環境的持続可能性の向上

本改正案が及ぼす影響としては、以下のような事柄が予想されます。

  • オーファンドラッグ以外の医薬品のデータ保護期間の延長
  • オーファンドラッグ指定基準の厳格化
  • 新規抗菌薬の開発促進
  • EMAの各委員会とプロセスの合理化
  • 医薬品に関する現行の環境要件の施行

本改正案に対する欧州製薬団体連合会(EFPIA)の見解はこちらをご覧下さい。本改正案は、ステークホルダーとの意見交換やパブリックコメントの募集などを経て、現在EU議会とEU理事会で審議中です。

4. 英国とMHRAのニュース

HRA(Health Research Authority:医療研究機構)は2024年3月18~22日を「Make it Public Week」(研究開示啓発週間)とし、医療研究の透明性向上のための啓発活動を行います。その一環として3月21日に開催するオンライン・ワークショップ「Make it Public workshop — all clinical trials registered」では、研究の登録に焦点を当て、すべての臨床試験の登録を実現させる方法を探ります。

5. 米国FDAのガイダンスとニュース

5.1 FDAは「FDA Works to Make Informed Consent Easier to Understand」(インフォームド・コンセントをわかりやすくするための取り組み)を発表しました。説明文書は長く、被験者候補にわかりにくいことが多々あります。このようなインフォームド・コンセントの手続き状況を改善するため、FDAはガイダンス案「Key Information and Facilitating Understanding in Informed Consent」(インフォームド・コンセントの主な情報と理解促進)を公開しました。本案は治験依頼者、治験責任医師、治験審査委員会(IRB)に対し、FDA規則案「Protection of Human Subjects and Institutional Review Boards」(被験者の保護と治験審査委員会)が提案する2つの要件と、それに対応する改正コモン・ルール(被験者保護に関する連邦規則)の現行の要件を満たす方法に関する推奨事項を提示しています。推奨事項には以下のような事柄が含まれています。

  • インフォームド・コンセントは、主要な治験情報の簡潔明瞭な提示から始める。
  • インフォームド・コンセント全体として、被験者候補が治験に参加したいか否かを決められるように、わかりやすい形で情報を提供する。

本案に対するパブリックコメントは2024年4月30日まで受け付けています。

5.2 DIA(Drug Information Association)は、CISCRP(Center for Information and Study on Clinical Research Participation:臨床研究参加に関する情報・研究センター)による論文「Clinical Trial Results on Clinical Trials.gov: Limited Value and Utility to Patients and Professionals」(ClinicalTrials.govにおける臨床試験結果:患者や専門家にとって限定的な価値と有用性)を発表しました。CISCRPは、ClinicalTrials.govの臨床試験結果の表示に一貫性がないことと、重要な情報が欠落していることを指摘しています。

5.3 FDAは、ヒト体細胞のゲノム編集(GE)を組み込んだヒト遺伝子治療製品を開発する治験依頼者向けにガイダンス「Human Gene Therapy Products Incorporating Genome Editing」を発出しました。本ガイダンスは、連邦規則集21条312.23(21 CFR 312.23)に準拠して、治験用GE製品の安全性と品質を評価するために治験薬(IND)申請で提供すべき情報に関する推奨事項を示しています。これには製品デザイン、製品の製造および試験、非臨床安全性評価、臨床試験デザインの留意事項などに関する情報が含まれます。

6. 欧州EMAのガイダンスとニュース

HMA-EMAカタログに関するウェビナー「Multi-stakeholder webinar on the HMA-EMA Catalogues of real-world data sources and studies」(2024年3月4日開催)のスライドが公開されました。RWDソースのカタログとRWD研究のカタログに関する詳細が示されています。

7. 開発戦略ニュース

バイオ医薬品業界のニュースを配信している「Endpoints News」は、参加無料のウェビナー「Cell & Gene Day 2024」(細胞・遺伝子の日2024)を4月23日11~13時(米国東部時間)に開催します。当日取り上げるテーマは、細胞・遺伝子治療の科学的進歩、最近と今後の承認と臨床マイルストーン、臨床試験のデザインと実施への統合的アプローチなどです。

8. 人工知能・機械学習

8.1 2024年3月13日、EU議会は人工知能(AI)規制法案を可決しました。本法の目的は、「リスクの高いAIから基本的人権や民主主義、法の支配、環境の持続可能性を守るとともに、イノベーションを促進し、欧州をこの分野のリーダーとして確立すること」です。本法が定める「ハイリスクAI」のカテゴリーには、医療用AIシステムが含まれています。

8.2 eClinical Solutions社が2024年1月18日に開催したウェビナー「Advancing Clinical Data Transformation: Industry Outlook 2024」(臨床データ変革の推進:2024年の業界展望)のビデオ録画が無料公開されています。本ウェビナーではAIの導入や、外部データの動向、サイクルタイムの課題、今後12か月間に業界に与える影響の見通しなどが取り上げられています。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
→ 詳しいプロフィールはこちら

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CORE Reference News 2024年2月28日号

CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • EudraCT:European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. EU CTRCTIS

1.1 CTISのショート説明会「How to submit a transitional trial in CTIS」(移行中の臨床試験の提出方法)が2024年2月29日に開催されます。ビデオ録画が後日公開される予定です。

1.2 CTISに関する公開ウェビナー「Last Year of Transition」(移行期間最後の年)が2024年3月25日13時(アムステルダム時間)に開催されます。本ウェビナーではCTRの実装や、移行期間中の臨床試験とCTISでの更新方法、CTISの現状などについて説明される予定です。参加申込の詳細はこちらをご覧下さい。参加者は事前の質問を3月4日から18日まで、Slidoのサイト経由でイベントコード「#infomarch2024」を使用して提出できます。

1.3 オランダのCentral Committee on Research Involving Human Subjects (CCMO)(ヒトを対象とする研究に関する中央委員会)は、医薬品臨床試験の「substantial modification (SM)」(大幅な変更)専用に、カバーレターと変更説明書の各テンプレートを新たに発表しました。「substantial modification」では、提出書類と変更内容の概要を審査担当者が十分に把握することが重要です。そのため、CTISでは「substantial modification」ごとにカバーレターと変更説明書の提出が求められています。これにより、明確さの欠如による審査の遅延がなくなり、審査プロセスの迅速化が期待されます。

1.4 EMAは2024年2月に2つのCTIS研修資料の最新版を公開しました。
・「CTIS Training materials — Latest updates, Version 1.3」(CTIS研修資料―最新アップデート、バージョン1.3):本資料は、EMAのサイト上で研修資料のどのバージョンが最新版なのか、ユーザーが最後に参照してからどの研修資料が新たに作成されたのかを、ユーザーにわかりやすくすることを目的としています。
・「CTIS Evaluation Timelines, Version 2.0」(CTIS評価タイムライン、バージョン2.0):本資料は、臨床試験申請プロセス全体のタイムラインと各種期限の概要をEU加盟国と治験依頼者に示すことを目的としています。

2. 欧州医療データスペースのニュース

2.1 欧州製薬団体連合会(EFPIA)のデジタルデータ担当ディレクターAneta Tyszkiewicz氏は、インタビューの中で、EUが提案している医療データ共有法に関するEFPIAのフィードバックについて語っています。詳細はインタビュー記事「A Maze of Rules: EFPIA on EU’s Proposed Health Data Sharing Law」(規則の迷路:EU提案の医療データ共有法についてEFPIAが語る)でご覧頂けます。

2.2 EUやEU加盟国の大規模な患者団体、医療団体、医学会など30団体が、欧州医療データスペース(EHDS)規則案に関する最近の協議について、団体共通の懸念を表明しました。これらの団体はプレスリリースで「EU理事会、欧州議会、欧州委員会の三者協議(トリローグ)の基礎をなす立法的な立場で、10件の基本的な問題が満足に対処されていない」と述べています。プレスリリース「The draft text of the European Health Data Space (EHDS) in trilogues sparks deep concerns in the European healthcare ecosystem」(トリローグでの欧州医療データスペース(EHDS)規則案が欧州の医療エコシステムに深い懸念を呼び起こす)の全文はこちらをご覧下さい。欧州議会とEU理事会の欧州医療データスペース規則案に関する報告書A9-0395/2023はこちらでご覧頂けます。

3. 英国とMHRAのニュース

DeVitoらは論文「Barriers and Best Practices to Improvement Clinical Trials Transparency at UK Public Research Institutions: A Qualitative Interview Study」(英国の公的研究機関における臨床試験の透明性向上の障壁と最善の方法:定性的インタビュー研究)を発表しました。この研究は、英国の公的研究機関(大学とNHSトラスト)で臨床研究のガバナンスや運営、臨床試験の管理に携わる職員への半構造化インタビュー調査によって行われました。その結果、「治験責任医師が臨床試験の透明性確保の責任を確実に認識して支援を受けられるよう、研究機関内で新たな方針や手続きがほぼ例外なく確立されてきている。しかし、まだ課題が複数残っている」などの重要な知見が得られています。
訳注)NHSトラスト:英国の国民保険サービス(National Health Service: NHS)の一部として、地域別または種類別(例:精神医療)に医療サービスを提供する機関。公的な位置づけとしては、日本の地方独立行政法人に類似。英国内に約200のNHSトラストが存在。

4. 米国FDAのガイダンスとニュース

4.1 ClinicalTrials.govの治験プロトコル登録・結果提出システム(PRS:Protocol Registration and Results System)ベータ版の最新バージョンがPRSのサイトにリリースされました。これにより、ユーザーは「Record Summary」ページから直接、治験プロトコルのPRS品質保証(QA)・品質管理(QC)コメントを閲覧できるようになりました。詳細は最新のリリースノートをご覧下さい。

4.2 FDAは「臨床試験の登録や結果報告を怠って規則に従わない治験依頼者や治験責任医師に対して、今より厳しい立場を取るつもりはない」と権利擁護団体に対して述べました。STAT Newsサイトの記事「FDA gives a mixed response to a petition seeking greater clinical trial transparency」(臨床試験の透明性向上を求める嘆願書にFDAが複雑な反応)によると、FDAは開示違反の罰則を検討する際に規制当局の裁量権を行使する権利を保有していますが、治験依頼者らが自発的に規則に従って臨床試験を登録・報告することを望んでいます。

4.3 FDAは2024年2月22日に最終ガイダンス「Assessing COVID-19-Related Symptoms in Outpatient Adult and Adolescent Subjects in Clinical Trials of Drugs and Biological Products for COVID-19 Prevention or Treatment」(新型コロナ感染症の予防用または治療用の医薬品・生物学的製剤の臨床試験の思春期・成人期外来被験者における新型コロナ関連症状の評価)を発出しました。本ガイダンスの目的は、「新型コロナ感染症の予防または治療のための医薬品や生物学的製剤について、思春期・成人期の外来被験者を対象にした臨床試験で、一般的な新型コロナ関連症状をどのように評価・分析できるかという課題へのアプローチに関する留意事項を、治験依頼者と治験責任医師に示すこと」にあります。今後は、2020年9月29日発出の同名ガイダンスに代わって本最終ガイダンスが有効になります。

5. 欧州EMAのガイダンスとニュース

EMAは、臨床試験で新薬の安全性と有効性を確認するための非劣性デザインの利用に関するコンセプトペーパー「Concept Paper for the Development of a Guideline on Non-Inferiority and Equivalence Comparisons in Clinical Trials」(臨床試験における非劣性および同等性の比較に関するガイドライン作成のコンセプトペーパー)を発表しました。この提案は、臨床試験におけるestimandと感度分析に関するICHガイドラインを取り入れ、劣性試験に関する既存の2つのEMAガイダンスを統合することを目的としています。新たに作成されるガイドラインは、CPMP/EWP/482/99「Points to consider on Switching between Superiority and Non-Inferiority」(優越性と非劣性の切り替えの留意点)と、CPMP/EWP/2158/99「Guideline on the Choice of Non-Inferiority Margin」(非劣性マージンの設定に関するガイドライン)に代わるものとなります。本コンセプトペーパーに関するパブリックコメントは、こちらで2024年5月31日まで受け付けています。

6. リアルワールドデータ

6.1 Toaderらは論文「The use of healthcare systems data for RCTs」(ランダム化比較試験[RCT]における医療システムデータの利用)を発表し、研究のデータソースとしての医療システムデータ(HSD)の利用状況について報告しています。英国のデータベースでのスクリーニングで適格と判断したランダム化比較試験84件のうち、28件では少なくとも1つのアウトカムにHSDを利用する予定であり、24件では少なくとも1つのアウトカムにHSDを唯一のデータソースとして利用していました。また、HSDから収集された主なアウトカムは、死亡関連アウトカム、入院、有害事象、コスト関連アウトカムでした。

6.2 EMAとHMAは、リアルワールドデータ(RWD)ソースに関するカタログと、RWD研究に関するカタログを新たに発表しました。これらのカタログは、規制当局や研究者、企業が医薬品の使用、安全性、有効性を検討する際にRWDを特定・利用するのに役立ちます。そして、透明性を促進し、質の高い方法論の使用を奨励し、RWDに基づく研究に対する信頼を築きます。2つのカタログは、ENCePPリソースデータベースとEU PAS Registerに各々代わるものであり、利用者のために様々な改善が施されています。
訳注1)ENCePP:European Network of Centres for Pharmacoepidemiology and Pharmacovigilance(薬剤疫学・ファーマコビジランスセンターの欧州研究ネットワーク)。EMAが2006年に欧州での市販後の医薬品安全性モニタリング強化を目的として開始。
訳注2)EU PAS Register:EU post-authorisation study register(欧州市販後安全性研究登録)。欧州での市販後の医薬品安全性研究に関する情報を登録・公開するデータベース。

6.3 EMAとHMAが新たに発表したRWDソースに関するカタログと、RWD研究に関するカタログについて、EMAがウェビナー「Multi-stakeholder webinar on the HMA-EMA Catalogues of real-world data sources and studies」を2024年3月4日10時~12時(中央ヨーロッパ時間)に開催します。リアルタイムでご覧になるか、開催後にビデオ録画をご覧下さい(スライドはこちら)。本ウェビナーでは、規制実務におけるカタログの利点や重要性など、両カタログの概要を説明します。カタログの使用方法の説明や、主な機能のデモンストレーション、補足資料の紹介、質疑応答なども予定されています。

7. 透明性・情報開示のリソースとニュース

7.1 AllTrialsキャンペーン、コクラン・デンマーク、コクラン・ノルウェー、コクラン・スウェーデン、Dam財団、Melanomföreningen、TranspariMEDが共同で報告書「Medical research in waste in Nordic countries: Unreported clinical trials in Denmark, Iceland, Finland, Norway and Sweden」(北欧諸国の無駄な医学研究:デンマーク、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンにおける未報告の臨床試験)を発表しました。本報告書によると、北欧諸国で実施された臨床試験のうち、結果が公表されていない試験が475件も確認されました(参加した被験者の総数:約84,000名)。本報告書の詳細は、2024年3月15日10時(中央ヨーロッパ時間)開催のウェビナーで発表されます。(訳注:報告書がこちらのウェブ記事からダウンロード可能です)

7.2 2024年3月14日14時(英国時間)に無料の公開ウェビナー「Clinical Trial Transparency – CTR Transition Studies: What you need to know and how to meet the 30 Jan 2025 deadline」(臨床試験の透明性 ― CTRへの臨床試験の移行:知っておくべきことと、2025年1月30日の移行期限に間に合わせる方法)が開催されます。

8. 開発戦略ニュース

8.1 Babaらは、「Guidelines for reporting pediatric and child health clinical trial protocols and reports: study protocol for SPIRIT-Children and CONSORT-Children」(小児および小児の健康に関する臨床試験のプロトコルと報告書の報告ガイドライン:SPIRIT-ChildrenとCONSORT-Childrenの作成計画書)を発表しました。本計画書は、小児臨床試験に関するSPIRIT Extension(SPIRIT声明の拡張版)の作成を目指しています。
訳注1)SPIRIT-Children:Standard Protocol Items: Recommendations for Interventional Trials – Children。小児臨床試験のプロトコルに関するガイドライン。
訳注2)CONSORT-Children:Consolidated Standards of Reporting Trials – Children。小児臨床試験の報告に関するガイドライン。

8.2 欧州の非営利組織Ecraid(European Clinical Research Alliance for Infectious Diseases:感染症の欧州臨床研究ネットワーク)は、臨床試験のアダプティブデザインについて、6部構成の研修シリーズ「Ecraid Training Modules on Adaptive Clinical Trial Designs」の提供を開始しました。本シリーズは無料のアダプティブデザイン入門講座で、受講者はCME(医学生涯教育)の履修証明書の取得が可能です。

8.3 TransCelerate Biopharma社は、臨床試験プロトコルのテンプレート「Clinical Content & Reuse (CC&R) Initiative」(旧Common Protocol Template [CPT])の最新版「Clinical Template Suite (CTS)」を発表しました。CTSは最新の研究トレンドやガイダンスを反映しながら、①プロトコルの構成と内容の共通化、②プロトコルの内容の作成自動化と再利用の価値の証明、③プロトコルと試験デザイン要素のデジタル化の基盤作りの支援を可能にしています。最新版リリースの発表全文はこちらをご覧下さい。同社のウェブサイトによると、今回のアップデートは、進化したベスト・プラクティス(マスタープロトコル、妊娠と授乳、性別特有の表現の削減、肝臓の安全性)のみならず、プロトコルの内容に関する他のトピック(患者報告アウトカム、EU-CTRとの整合性、統計解析アプローチ、CTIS)も反映しています。また、「MCTC (Modernization of Clinical Trial Conduct) Data Return Plan」(臨床試験実施の近代化:被験者への治験データ返却計画)と「Patient Experience Study Participation Feedback Questionnaire」(治験参加に関する患者フィードバックの質問票)をCPTに組み込んだことにより、同社の他のイニシアチブをサポートしています。CPT更新版のダウンロードはこちらから可能です。変更箇所をリストアップしたスライドがこちらからダウンロード可能です。特に、新たなCPTは、プロトコルの内容とEU-CTRの要件との整合性を確実にすることと、プロトコルの項目とCTISシステムの要件との整合性を反映することを目的としてアップデートされています。
訳注)同社の各種テンプレートの中には、日本語版が参考用として無料で提供されているものもあります。詳細はこちらをご覧下さい。

9. 人工知能・機械学習

Goodmanらは論文「AI-Generated Clinical Summaries Require More Than Accuracy」(AI生成臨床サマリーに必要なのは正確さだけではない)を発表し、電子健康記録(EHR: electronic health record)から臨床記録や投薬情報などの患者データを要約する生成AIと大規模言語モデル(LLM)の臨床応用について見解を述べています。「LLMは、電子健康記録からの情報収集を合理化する強力な機会を約束すると同時に、FDAの既存の規制による予防策では明確にカバーされない特異なリスクももたらす」と著者らは指摘し、生成AI/LLMによる患者データの要約が日常診療の一部になる前に、FDAが規制の未整備を明らかにすることを強く求めています。

10. アジア規制当局のニュース

タイ臨床試験レジストリ(TCTR)は、試験完了日から11ヶ月が経過している試験の登録者と、最終更新日から180日以上情報が更新されていない試験の登録者に対して、リマインダーのメールを自動送信するシステムを2024年1月24日から導入しています。TCTRの登録者は試験情報を随時更新して下さい。情報が更新されないと、試験状況が「unknown」と表示されます。本システム導入に関する公式発表は、TCTRのサイトの「Announcement」セクションをご覧下さい。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
→ 詳しいプロフィールはこちら

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CORE Reference News 2024年2月15日号

CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • EudraCT:European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. ICH

CIOMSはICH用語集「Glossary of ICH terms and definitions」の第5版(2024年2月7日)を発行しました。本書は、各種ICHガイドラインで使用されている用語とその定義を組み合わせて提示しています。こちらからダウンロード可能です。

2. EU CTRCTIS

2.1 CTISのデータ保護に関するQ&A集「Q&A on the protection of Commercially Confidential Information and Personal Data while using CTIS」(CTIS利用時の営業秘密情報 [CCI] と個人情報の保護に関するQ&A)の改訂版が発表されました(バージョン1.4、2024年1月31日)。今回の改訂では、Q&A 3.4「Is it possible not to disclose patient facing documents publicly?」(患者用文書を開示しないことは可能ですか?)の追加などが行われています。

2.2 EudraCTおよびEU Clinical Trials Register(EU-CTR)の「Frequently asked questions」(よくある質問)が改訂されました(バージョン2.3)。改訂箇所の多くは、CTISへの臨床試験の移行に関するQ&Aです。

2.3 今後開催が予定されているCTISイベントの日時は以下の通りです。
2024年4月8日~11日14:00~18:30(アムステルダム時間)
2024年6月10日~13日9:00~13:30(アムステルダム時間)

2.4 2024年1月23日、EMAは「CTIS: How to get started and how to transition a trial」(CTIS:利用開始方法と臨床試験の移行方法)を公開しました。

3. 欧州医療データスペースのニュース

欧州製薬団体連合会(European Federation of Pharmaceutical Industries and Associations:EFPIA)は、欧州医療データスペース(European Health Data Space:EHDS)に関する医療データ共有法案の主な留意事項に焦点を当てた声明「European Health Data Space: key aspects to be considered in the trilogue discussions」を発表しました。本声明では、二次利用の範囲内のデータや、知的財産と企業秘密の保護などが強調・考察されています。

4. 米国FDAのガイダンスとニュース

4.1 FDAはガイダンス案「Collection of Race and Ethnicity Data in Clinical Trials and Clinical Studies for FDA-Regulated Medical Products」(FDA規制医療製品の臨床試験と臨床研究における人種・民族データの収集)を公開しました。本案は、FDA規制医療製品の臨床試験や臨床研究から収集・報告された情報を含む申請資料において、人種・民族データの収集・報告に一貫性を持たせるために、FDAが推奨する標準化アプローチ・用語を提示しています。なお、本案は、2016年発表のFDA最終ガイダンス「Collection of Race and Ethnicity Data in Clinical Trials」(臨床試験における人種・民族データの収集)を改訂したものです。

4.2 FDAは米国デューク大学のデューク・マーゴリス医療政策センターと共同で、公開ワークショップ「Enhancing Adoption of Innovative Clinical Trial Approaches」(革新的な臨床試験アプローチの導入強化)を2024年3月19~20日に開催します。本ワークショップでは、臨床試験のデザインと実施の革新を進める取り組みについて議論する予定で、対面式(会場:ワシントンDCのケロッグ・カンファレンス・ホテル)とオンラインとのハイブリッド形式で開催されます。参加申込は同センターのイベントサイトで受け付けています。

4.3 FDAは公開ワークショップ「Advancing the Use of Complex Innovative Designs in Clinical Trials: From Pilot to Practice」(臨床試験の複雑で革新的なデザインの利用促進:試みから実装まで)を2024年3月5日に開催し、複雑なアダプティブデザインやベイズ流アプローチなど、新しい試験デザインについて議論します。本ワークショップは二部構成になっており、前半では、複雑で革新的なデザインとその実装の多様な側面を例示するケーススタディに焦点を当てます。後半では、ケーススタディに基づいてパネルディスカッションが行われる予定です。対面式とオンラインのハイブリッド形式で開催されますが、参加申込の詳細はこちらをご覧下さい。

4.4 「Top Questions and Answers about the Transition to the Modernized ClinicalTrials.gov and Modernized PRS」(ClinicalTrials.govとプロトコル登録・結果提出システム [PRS:Protocol Registration and Results System] の最新化に関するQ&A)が改訂され、ClinicalTrials.govとPRS各々の従来バージョンの廃止に関する情報が追加されました。

4.5 FDAはガイダンス案「Use of Data Monitoring Committees in Clinical Trials」(臨床試験におけるデータモニタリング委員会の活用)を公開しました。本案は、①データモニタリング委員会(DMC)(別名:データ・安全性モニタリング委員会[DSMB]、データ・安全性モニタリング委員会[DSMC]、独立データモニタリング委員会[IDMC])が臨床試験のモニタリングに有用な場合の見極めや、②データモニタリング委員会の運営指導で考慮すべき手順や内容の決定に関して、治験依頼者を支援するための推奨事項を示しています。本案が最終決定されると、2006年3月発行の治験依頼者向け最終ガイダンス「Establishment and Operation of Clinical Trial Data Monitoring Committees」(臨床試験データモニタリング委員会の設置と運営)から置き換わります。パブリックコメントは2024年4月15日まで受け付けています。

4.6 CDERのジェネリック医薬品部(OGD)とEMAは、ジェネリック医薬品の申請者とFDAとEMAとの同時協議を促進するため、任意のパイロットプログラム「FDA-EMA Parallel Scientific Advice Pilot Program for Complex Generic/Hybrid Products」(複雑なジェネリック/ハイブリッド製品に対するFDA-EMA並行科学的助言パイロットプログラム)を開始しました。本プログラムにより、申請者は「複雑なジェネリック医薬品」(EMAの「ハイブリッド医薬品」に相当)の開発に関して具体的な科学的質問を照会するために、FDAとEMAとの三者合同会議の開催を要請することができます。

5. 欧州EMAのガイダンスとニュース

5.1 EMAはニュース記事「Clinical trials’ transition to new EU system — one year left」(臨床試験の新EUシステムへの移行 ― 残り1年)を発表しました。本記事は、2025年1月30日以降も継続が予想される臨床試験の依頼者に対し、EU加盟国が承認手続き完了までに最大3カ月要する場合があることを考慮する必要性について改めて注意喚起しています。本記事には、過去に紹介された臨床試験移行ガイダンスのリンクも貼られています。また、EMAは「Getting started with CTIS: Sponsor quick guide」(CTISの利用開始方法:治験依頼者用クイックガイド)も発表しています。

5.2 EMAは、ヒトの特定の細菌感染症または感染症の治療や予防を目的としたバクテリオファージ医薬品の開発・製造に関する科学的ガイドラインの作成を提案するコンセプトペーパー「Concept paper on the establishment of a Guideline on the development and manufacture of human medicinal products specifically designed for phage therapy」(ファージセラピー用ヒト医薬品の開発・製造ガイドラインの作成に関するコンセプトペーパー)を発表しました。現在EUでは、動物用のバクテリオファージ医薬品についてはEMAのガイドラインが存在しますが、ヒト用はありません。本コンセプトペーパーに関するパブリックコメントは2024年3月31日まで受け付けています。

5.3 2024年1月25~26日の2日間、EMA主催の臨床試験分析ワークショップが開催され、200人を超える参加者が出席しました。主なディスカッションは、詳細かつ最新の臨床試験データへのアクセス改善の要望や、患者参加の重要性、標準化、適切なデータソースの特定などでした。当日のスライドとビデオ録画がこちらで公開されています。

6. 透明性・情報開示のリソースとニュース

6.1 TransCelerate Biopharma社は2024年3月28日にウェビナー「Enabling Individual Participant Data Return (iPDR): An Overview of TransCelerate’s Individual Participant Data Return Package」(臨床試験の被験者へ各自の治験データを提供する方法:TransCelerate Biopharma社の被験者個人データ提供パッケージの概要)を開催します。参加申込の詳細はこちらをご覧下さい。

6.2 Real Life Sciences社は2024年2月22日にウェビナー「Commercially Confidential Information: Why It’s So Hard and What You Can Do To Streamline CCI In Your Organization」(医薬品の営業秘密 [CCI]:CCIの簡素化はなぜ難しいのか、組織内で何が出来るか)を開催します。参加申込の詳細はこちらをご覧下さい。

7. 開発戦略ニュース

7.1 EMAは、バイオシミラーの開発におけるテーラーメイド臨床アプローチのリフレクションペーパー作成に関するコンセプトペーパー「Concept paper for the development of a reflection paper on a tailored clinical approach in biosimilar development」を発表しました。本コンセプトペーパーについて、2024年4月30日までの3ヶ月間に渡りパブリックコメントを募集しています。コメントはこちらのアンケートフォームから提出可能です。

7.2 Kahanらは論文「The estimands framework: a primer on the ICH E9(R1) addendum」(estimandのフレームワーク:ICH E9(R1)ガイドライン補遺の手引き)を発表しました。estimandを検討する際、チームのインプットが必要であるにもかかわらず、生物統計担当者に任せきりになるという、よく見られる問題が本論文で指摘されています。本論文は主題が簡潔に要約されており、estimandに馴染みのない人にとって優れた手引書となっています。

8. 人工知能・機械学習

Shickらは論文「Transparency of artificial intelligence/machine learning-enabled medical devices」(人工知能/機械学習を利用した医療機器の透明性)を発表しました。2021年10月にFDAが開催した同名のワークショップで、ステークホルダーにとっての透明性の意味と役割や、医療機器に該当するすべての人工知能/機械学習利用ソフトウェアの透明性を促す方法について議論された成果が本論文で報告されています。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
→ 詳しいプロフィールはこちら

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CORE Reference News 2024年1月31日号

CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • EudraCT:European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

1. EU CTRCTIS

1.1 EMAは、2024年2月4月6月に各々開催予定の「CTIS治験依頼者エンドユーザー研修プログラム」の日程と情報を発表しました。

1.2 EMAは、非営利目的の治験依頼者が臨床試験をCTISに移行させることを支援するため、研修イベントを2024年2月9日に開催します。参加者は事前の質問を、Slidoのサイト経由でイベントコード「#Transitioningtrials」を使用して提出できます。アジェンダはこちらからダウンロード可能です。本イベントでEU加盟国の代表者とEMAは、治験をCTISに移行する非営利目的治験依頼者をサポートするためのガイダンスとリソースを提供します。

1.3 EU CTR施行に関する報告書(2023年12月号)がダウンロード可能になりました。本報告書には、2022年1月31日以降に提出された初回臨床試験申請の累積件数の概要が含まれています。

1.4 「CTIS newsflash」2024年1月26日号によると、EMAは改正CTIS透明性規則の技術的実装に取り組んでおり、2024年第2四半期の実装を見込んでいます。それまでの間、初回臨床試験申請について、治験依頼者は改正CTIS透明性規則の原則に従うことが可能です。そのため、治験依頼者は治験文書の公開を保留せず、改正透明性規則の適用範囲内にある文書に限って「公開用」と「非公開用」の両バージョンを提供することが認められます(改正CTIS透明性規則の付録I参照)。

2. 英国とMHRAのニュース

英国保健研究機構(Health Research Authority:HRA)の「HRA Now」最新号で、医薬品臨床試験のEU CTIS登録に関するHRAの指針が明示されました。国際共同試験の一部として英国で実施される臨床試験の情報はEUのCTISに登録できないため、EU/EEAと英国の両地域で臨床試験を行う場合は、EU CTISに臨床試験を登録するだけでなく、ISRCTNレジストリClinicalTrials.govなどの臨床試験レジストリにも登録が必要です。

3. 米国FDAのガイダンスとニュース

3.1 FDAは「Conducting Remote Regulatory Assessments – Questions & Answers」(リモート規制評価の実施:Q&A)の改訂ガイダンス案を業界向けに公開しました。FDAは、FDA規制製品の監視やリスク軽減、公衆衛生上の重要なニーズへの対応、コンプライアンス向上支援のため、「リモート規制評価」(RRA)を利用してきました。本ガイダンス案では、RRAの定義や実施時期・理由・方法などがQ&A形式で説明されています。パブリックコメントはこちらで2024年3月27日まで受け付けています。

3.2 FDAは「Collection of Race and Ethnicity Data in Clinical Trials and Clinical Studies for FDA-Regulated Medical Products」(FDA規制医療製品の臨床試験と臨床研究における人種・民族データの収集)と題されたガイダンス案を公開しました。本ガイダンス案は、臨床試験での人種・民族データの収集・報告について標準化アプローチを提示しています。パブリックコメントはこちらで2024年4月29日まで受け付けています。

4. 欧州EMAのガイダンスとニュース

4.1 EMAと欧州がん研究治療機関(EORTC)は、患者報告アウトカム(PRO)と健康関連QOL(HRQoL)データが規制上の決定にどのように影響するかについて、ワークショップを2024年2月29日に共催します。オンライン参加の申込はこちらで2024年2月16日まで受け付けています。

4.2 EMAは、製薬分野の中小企業(SME)向けユーザーガイド「User guide for micro, small and medium-sized enterprises」の大幅な改訂版を発表しました。本ガイドには、EUの医薬品規制の枠組みに関する情報が包括的に掲載されており、ヒト用医薬品および動物用医薬品の開発と承認の要件が示されています。今回の主な改訂は、①動物用医薬品に関する全面改訂(動物用医薬品規則に準拠)、②CTRとCTISの概要の記載(新規セクション4.4)、③ヒト用の医療機器規則に関する知見の提示(新規セクション4.8)の3点です。

4.3 EMAの臨床試験データ公開サイトに「Resumption of clinical data publication for all medicines」(全医薬品の臨床データ公開の再開)というセクションが追加されました。EMAは新薬臨床試験のデータ公開について、新型コロナ感染症医薬品を除き一時中断していましたが、2023年9月以降にEMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)から意見を得た医薬品の臨床試験データ公開を再開しました。新型コロナ感染症医薬品以外で再開後に公開された医薬品の臨床データパッケージは、2024年1月からEMAの臨床試験データ公開サイトで入手可能になります。

5. リアルワールドデータ

HMA/EMA共同ビッグデータ運営グループは、最新のビッグデータ作業計画2023-2025(バージョン1.2、2024年1月)を発表しました。本計画には各作業のタイムラインの概略が示されています。本計画の発表スライドがこちらからダウンロード可能です。

6. 透明性・情報開示のリソースとニュース

6.1 DeVitoらは、EU Clinical Trials Register(EU-CTR)に登録された臨床試験のデータ開示状況について、横断的監査調査を実施しました。その結果、調査した臨床試験500件のうち53.2%で試験結果がEU-CTRで開示されていました。これは、比較可能な記録がある他の臨床試験レジストリの臨床データ開示率を上回っていました。また、試験結果の報告までに要した時間(中央値)も、EU-CTRが1142日で最も短く、ClinicalTrials.gov(3321日)より結果報告が速いことが示されました。詳細は論文「Availability of results of clinical trials registered on EU Clinical Trials Register: cross sectional audit study」をご覧下さい。

6.2 米国のClinical Trials Transformation Initiative(CTTI)の調査報告書「Improving Timely, Accurate, and Complete Registration and Reporting of Summary Results Information on ClinicalTrials.gov」(ClinicalTrials.govへのタイムリーで正確かつ完全な試験登録と試験結果報告の改善)が発表されたことを受け、臨床試験ニュースサイトClinical Trial Vanguardのブログ記事「FDA Needs To Release ClinicalTrials.gov Guidance Now」では、CTTIの報告書の主な内容とメッセージが詳述されています。
訳注)CTTI:Clinical Trials Transformation Initiative。2007年に米国デューク大学とFDAが共同で設立した、臨床試験の品質・効率の向上を目指す産学官連携組織。

6.3 Gattrellらは、専門家らの合意に基づく生物医学研究に特化した初の報告ガイドライン「ACCORD (ACcurate COnsensus Reporting Document): A reporting guideline for consensus methods in biomedicine developed via a modified Delphi」(デルファイ変法により開発された生物医学における合意形成法の報告ガイドライン)を発表しました。本ガイドラインは、論文で合意形成法を報告する際に、著者が完全かつ透明性のある方法で正確かつ詳細な論文を執筆できるよう支援することを目的としています。

7. 開発戦略ニュース

7.1 Heyらはオープンアクセス論文「A Future European Scientific Dialogue Regulatory Framework: Connecting the Dots」(欧州における今後の科学的対話の枠組み:プロセスの統合と最適化)を発表しました。本論文は、EMAが製薬企業に提供している「科学的助言」(SA)(訳注:PMDAの対面助言に相当)にアクセスするための複数のオプションが直面している課題を示しています。また、医薬品開発の科学的ニーズに応えるために、現在のSAのオプションを統合・最適化できる方法を考察しています。

7.2 マスタープロトコル試験は、従来の試験デザインの課題に対処する方法として実施が増えつつあります。Laura C. Collada Aliのウェブ記事「Navigating the Future of Clinical Research: Master Studies and Crafting a Comprehensive Protocol」(今後の臨床研究の針路:マスタープロトコル試験と包括的プロトコルの作成)では、マスタープロトコル試験の概念を探り、関連する臨床試験プロトコルを作成する際に重要となるコンテンツをまとめています。

7.3 世界医師会(WMA)の「ヘルシンキ宣言」2024年改訂に向け、最後の定期的な見直しが、新たな作業部会によって2023年に実施されました。すべてのステークホルダーと一般からの意見を最大限に反映するため、世界医師会は作業部会が作成した改訂案を公開してパブリックコメントを募集します。現在、募集の第1期中であり、コメントは世界医師会の公式サイトの指示に従って2024年2月7日まで提出可能です。第2期募集は、追加のトピックが公表される春に実施される予定です。

8. 人工知能・機械学習

2024年1月24日、欧州委員会は、EUの価値観とルールを尊重する信頼可能な人工知能(AI)の開発において、欧州のスタートアップ企業と中小企業を支援するための一連の施策を開始しました。これは、EUにおいて信頼可能なAIの開発、展開、導入を支援する、世界初の包括的な欧州AI規制法案に関して、政治的合意が2023年12月に得られたことによります。詳しい情報とプレスリリースはこちらでご覧頂けます。

9. アジアの規制当局のニュース

2024年1月16日、マレーシアの国立医学研究登録レジストリ(NMRR)は、下記の文書の改訂版などを始め、最新の開発情報を発表しました。
・「Data Elements and Parameters for NMRR Submission (V2.1)」(NMRR提出用のデータ項目とパラメーター、バージョン2.1)
・「User Guideline for Investigator/CRA – New Research Registration & Other Submission Purposes, NMRR v2.0」(研究者・CRA用ユーザーガイドライン:新規研究登録および他の提出目的、NMRRバージョン2.0)

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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CORE Reference News 2024年1月15日号

【CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用に和訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • EudraCT:European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. EU CTRとCTIS

1.1 CTISに記録されたEU加盟国の祝日リスト2024年版が、EMAのサイトで公開されました。

1.2 EMAは、CTISの機能に関する「CTISウォークイン・クリニック」を2024年1月24日16時~17時(中央ヨーロッパ時間)に開催します。参加者は事前の質問を、Slidoのサイト経由でイベントコード「#clinic241」を使用して2024年1月15日まで提出できます。

1.3 2023年11月29日に開催されたCTISショート説明会「Training materials, CTIS pre-requisites, and updates on transparency rules」(研修資料、CTIS利用要件、透明性規則の最新情報)のビデオ録画がオンライン公開されました。こちらからダウンロード可能です。

1.4 新型コロナウイルス感染症後遺症(PASC)の治療法と予防法の臨床エビデンス生成に関して、EMAが開催したワークショップのビデオ録画が公開されました。本ワークショップでは、臨床試験での適切な患者集団の選定や、適切な有効性エンドポイントの設定などが取り上げられています。

1.5 臨床試験調整諮問グループ(CTAG)の議事録(2023年11月27日会議開催)と、CTRとCTISに関する第2回調査の結果報告スライドが、こちらからダウンロード可能です。

2. 英国MHRAのニュース

MHRAは、患者のタイムリーな医薬品アクセスをサポートするため、新たな有効成分の医薬品販売承認申請(MAA)や適応拡大申請のバリエーションに関する運用情報を共有するプロセスを開発しました。医療システムパートナーと共有する運用情報の目的や、共有する情報の性質、同意、同意の撤回、情報管理プロセスなどについて、「Operational Information Sharing Guidance」(運用情報共有ガイダンス)に詳しく記されています。

3. 米国FDAのガイダンスとニュース

3.1 次回のICH総会(2024年6月4~5日開催予定)に先立ち、FDAとカナダ保健省は、関係者に情報を提供して意見を募るための公開ミーティングを共同開催する予定です。ミーティングの参加登録はこちら。アジェンダはこちらからダウンロード可能です。

3.2 米国の臨床試験登録サイトClinicalTrials.govは、「Notices of Noncompliance and Civil Money Penalty Actions」(不順守および民事制裁金の措置に関する通知)を改正しました。本通知には、過去に臨床試験の登録・報告義務を怠った組織・個人の名称、試験ID(NCT番号)、FDAからの違反通知、罰金の一覧表が掲載されています。

3.3 ClinicalTrials.govのホームページに、「Submit Studies」というセクションが新設されました。本セクション内の「PRS Help Resources」では、臨床試験の登録方法や試験結果の提出方法などを確認できます。また、「Policy」というセクションも新設され、登録項目やFAQなどが掲載されています。

3.4 ClinicalTrials.govへの臨床試験結果提出の期限延長要請に関して、米国国立衛生研究所(NIH)発出の通知「Clinical Trials Results Information Submission: Good Cause Extension (GCE) Request Process and Criteria」(臨床試験結果情報の提出:正当な理由による延長要請のプロセスと判断基準)が2024年1月に改正されました。本改正では、提出期限延長要請の理由が「正当でない」と判断されるケースに複数の追加がありました。

4. リアルワールドデータ

欧州製薬団体連合会(EFPIA)と欧州共同希少疾患プログラム(EJP RD)は、希少疾患のリアルワールドデータなどに関するウェビナーを2024年1月26日に共同開催します。タイトルは「Real-World data, Machine learning and Deep analytics in rare diseases: Regulatory grade data collection for marketing authorization submissions – what is buzz, what is realistic?」(希少疾患におけるリアルワールドデータ、機械学習、ディープ・アナリティクス:販売承認申請のための規制グレードのデータ収集 ― バズとは何か?現実的とは何か?)。本ワークショップは参加無料ですが、事前登録が必要です(2024年1月25日受付締切)。

5. 透明性・情報開示のリソースとニュース

5.1 2024年2月6~8日にPHUSE(Pharmaceutical Users Software Exchange)が開催する「PHUSE Data Transparency Winter Event」(データの透明性に関する冬季イベント)の参加申込受付が始まりました。本イベントはバーチャル開催で、3日間の各日とも15時~17時30分(グリニッジ標準時)にプレゼンテーションが行われます。また、パネルディスカッションや質疑応答も毎日開催されます。登壇者や抄録、参加申込情報などの詳細はこちらをご覧下さい。

訳注)PHUSE:Pharmaceutical Users Software Exchange。製薬企業やIT企業などのデータマネージメントや生物統計、電子臨床データ、毒性、病理、薬理などの各専門家ボランティアから成る国際的非営利組織。FDAやEMA、CDISCなどの規制当局・標準組織などに対する業界の代弁者。

5.2 欧州メディカルライター協会(EMWA)の季刊誌『Medical Writing』2023年12月号(バイオテクノロジー特集)に、「Overcoming confidential information challenges faced by study sponsors」(治験依頼者が直面する機密情報の課題の克服)という記事が掲載されています(著者:Elliot Zimmerman)。記事全文はこちらからダウンロード可能です。

5.3 米国のClinical Trials Transformation Initiative(CTTI)は、臨床試験の登録と結果報告に関する要因と障壁を調査しました。調査報告書「Improving Timely, Accurate, and Complete Registration and Reporting of Summary Results Information on ClinicalTrials.gov」(ClinicalTrials.govへのタイムリーで正確かつ完全な試験登録と試験結果報告の改善)には、登録・報告の義務を負う臨床試験の改善に関する提言が示されています。報告書の概要はこちらでご覧頂けます。

訳注)CTTI:Clinical Trials Transformation Initiative。2007年に米国デューク大学とFDAが共同で設立した、臨床試験の品質・効率の向上を目指す産学官連携組織。

5.4 臨床試験の重大な違反の最初の2件がEU CTISのサイトで発表されました。この2件の詳細をご覧になりたい方は、EU臨床試験データベースで「Advanced Criteria」をクリックし、「Serious Breach」のチェックボックスにチェックを入れて検索して下さい。

5.5 2024年1月、ClinicalTrials.govはNIH発出の通知「Clinical Trials Results Information Submission: Good Cause Extension (GCE) Request Process and Criteria」(臨床試験結果情報の提出:正当な理由による延長要請のプロセスと判断基準)の改正版をサイトに掲載しました。本通知には、正当な理由によりClinicalTrials.govへの臨床試験結果提出の期限延長要請を提出するプロセスが示されています。本改正では、提出期限延長要請の理由が「正当でない」と判断されるケースに複数の追加がありました。また、新たなFAQも追加されています。

6. 人工知能・機械学習

欧州希少疾患共同プログラム(EJP RD)が2024年1月26日に開催予定のオンライン・トレーニング・ウェビナーの詳細は、前述の「4. リアルワールドデータ」セクションをご覧下さい。

7. アジアの規制当局のニュース

タイ臨床試験レジストリ(TCTR)は、2024年1月1日付でMedical Research FoundationからFoundation for Human Research Promotionに移管されました。登録システムの運用については、追加情報が後日提供される予定となっています。TCTRは、財政支援不足のため、2023年11月より段階的に運営を停止しています。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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CSRマニュアル「CORE Reference」を読む3つのメリット(2016年AMWA年次総会の参加報告)

昨年(2016年)も米国メディカルライター協会(AMWA)年次総会に参加して来ましたので、遅ればせながら報告いたします。2016年の総会は10月5~8日にコロラド州デンバーで開催され、名称が「annual conference」から「Medical Writing & Communication Conference」に変わりました。

日本からの参加者は今年も約15名で、大部分は国内製薬企業のメディカルライターの方でしたが、フリーランスのライターや医薬翻訳者の方も数名いらっしゃいました。参加者名簿を見る限り、国内のアカデミアやCRO、翻訳会社からの参加はなかったようです。

会期中には、毎年恒例の日本人参加者の夕食会を開催しました。医薬分野の英訳を手掛けるネイティブ翻訳者の方も数名参加して下さり、医学英語の勉強法からアメリカ大統領選まで幅広い話題で盛り上がり、今回も楽しく有意義な時間を過ごすことができました。

AMWAオープン・セッションで個人的に最も期待していたのは、2015年同様、治験総括報告書(CSR)の作成マニュアル「CORE Reference」の説明会で、今回も多くの参加者が集まり盛況でした。欧州メディカルライター協会(EMWA)とAMWAが共同で「CORE Reference」を作成した経緯などは、本ブログの第15回「製薬業界のメディカルライター必見!EMWAとAMWAがCSRマニュアル『CORE Reference』を共同作成中」にまとめてありますので、背景を知りたい方はそちらをご覧頂きたいと思いますが、ついに2016年5月に「CORE Reference」がネット上で公開され、利用が始まりました「CORE Reference」公式サイト

CSRの作成に関しては、ご存知のとおり「ICH E3ガイドライン」という国際的な指針があり、製薬企業はこのガイドラインに基づきながら、各々工夫を凝らしてCSRを長年作成しているので、すでに作成方針やテンプレートなどが確立されている企業が多いと思います。そのため、「CORE Reference」公開前から「何を今さら・・・」という疑問の声も聞かれます。

「CSRのマニュアルなど新たに必要ない」と考える製薬企業が多いかもしれませんが、AMWAのオープン・セッションでの説明を聞き、「CORE Reference」を読む限り、CORE Reference」はICH E3ガイドラインに基づいているだけでなく、欧米の規制当局の最近のガイダンスも考慮して作成されているので、CORE Reference」を利用すると海外の規制を遵守しやすくなると思います。また、「CORE Reference」は申請のためだけではなく、臨床試験データの公開も視野に入れて作成されているようです。

ご存知のとおりヨーロッパの規制当局(EMA)が新薬の臨床試験データの公開を義務付けたことから、薬剤の開発国・地域に関わらず、ヨーロッパで申請するすべての医薬品の臨床試験データを誰でも見られるようになりました。つまり、アメリカやアジアなどで書かれた臨床試験データもEMAを通じて公開されるということです。このような状況を踏まえ、いかにCSRに手を加えずにそのまま公開できるかということにも、「CORE Reference」は配慮して作られている印象を受けます。

そのため、「CORE Reference」のオープン・セッションでは、臨床試験データの公開時に規制当局が求める「透明性」(transparency)や「データの利用しやすさ」(data utility)と、被験者・開発側の個人情報(protected personal data [PPD])や医薬品の機密情報(commercially confident information [CCI])の保護とを、どのように両立させるかという説明に多くの時間が割かれていました。

別のオープン・セッション「Public Access to Clinical Documents — The New Transparency Policies in Europe」でも、「PPD」と「CCI」という略語が頻繁に使われ、これらの詳しい内容や保護方法に関する説明がありました。臨床試験データの公開におけるキーワードとして、この2つの用語は覚えておいたほうが良さそうです。

なお、「CORE Reference」は規制やガイドラインではないので、強制力はありません。また、CSRのテンプレートでもありません。欧米の各メディカルライター協会の会員で医薬品の申請資料作成に携わるメディカルライター(regulatory writer)らが意見をまとめた提案に過ぎません。作成に際しては日米欧3極とカナダの規制当局に相談したそうですが、関与を公式に表明しているのはカナダ当局のみです。また、欧米での利用度や普及範囲は、しばらく様子を見ないとわからないのが現状です。

しかし、「CORE Reference」は一読の価値があると思います。その理由は主に3つあります。

  1. 欧米のベテランの製薬専門ライターらの知識や経験などが色濃く反映されているので、欧米のCSR作成の考え方などを窺い知ることができる上に、ICH E3ガイドラインの欠点を補う形で作られているので、CSR改善のヒントが得られます。
  2. 臨床試験データの公開にCSRを利用する際に注意すべき点や、公開を前提に効率よくCSRを作成するコツなどがわかります。
  3. 欧米のベテランの製薬専門ライターらが質の高い英語で書いているので、正確かつ適切な英語表現を知ることができ、CSRの英文ライティングや和文英訳の参考になります。

このような利点がありますので、CSRの作成・翻訳に携わる方は、「CORE Reference」の利用の有無に関わらず、お手すきの折にでも一度ご覧になってみて下さい。公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。また、メーリングリストに申し込むと、関連する最新情報が「CORE Rerference email」として随時無料で届くので、公式サイトから申し込んでおくと便利だと思います(申込ページはこちら)。

臨床試験データ公開のキーワード
・protected personal data (PPD)
・commercially confident information (CCI)

追記1:クリノス代表・内山雪枝が「CORE Reference」に送ったメールの一部が、「CORE Reference」公式サイトの「Adoption and Use」(利用者の声)に掲載されました。興味のある方はこちらをご覧下さい。

追記2:2018年7月にクリノスは、「CORE Reference email」の和訳とその配信に関する許諾を「CORE Reference」より取得しました。詳しいことはこちらをご覧下さい。

関連サイト・記事
CORE Reference公式サイト
製薬業界のメディカルライター必見!EMWAとAMWAがCSRマニュアル『CORE Reference』を共同作成中

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製薬業界のメディカルライター必見!EMWAとAMWAがCSRマニュアル『CORE Reference』を共同作成中

前回のブログに書いた第75回米国メディカルライター協会(AMWA)年次総会の参加報告の続きですが、新たなオープン・セッションで人気・評価ともに高かったのは、治験総括報告書(CSR)の作成に関するICH E3ガイドラインに基づく「CORE Reference」の説明会でした。

「CORE」は「Clarity and Openness in Reporting: E3-based」の頭文字です。そして「CORE Reference」は、欧州メディカルライター協会(EMWA)の経験豊富なレギュラトリーライターらが2014年5月に結成したBudapest Working Group(BWG)が、AMWAと共同で作成中のCSR作成マニュアルです。

「CORE Reference」作成の主な理由としては、E3ガイドラインの曖昧な点を明確にする必要があること、欧米で急速に進む治験データの公開に適したCSRの作成が急務であることなどがオープン・セッションで挙げられていました。

ICH E3ガイドラインが発表されて20年が経ち、様々な問題点が指摘されているにも関わらず、ICHがE3ガイドラインを改訂する気配がないことに、欧米のレギュラトリーライターたちがしびれを切らしたのかもしれません。実は、E3ガイドライン改訂の噂は何年も前からあり、AMWAの会員数名も改訂メンバーに加わっていることがAMWAで度々話題に上っていました。しかし、BWGは昨年5月にEMWA会員を中心に結成され、その後AMWAと提携したとのことなので、E3ガイドライン改訂の動きとは別のようです。

BWGはICH E3ガイドラインを見直し、補足事項や推奨事項などを追記した「CORE Reference」の草案を作成済みで、草案のレビューは日米欧の各規制当局にも依頼しているそうです。当局の「お墨付き」となれば、「CORE Reference」の信頼性は高く、多くの製薬企業・CROが利用するにようになるのではないかと思います。

また、BWGは、CSRの礎となる治験実施計画書(プロトコル)の作成についても、ICH E6ガイドラインに基づくマニュアルを同時に作成中で、「CORE Reference」に含まれるとのことです。そうなると、CSRの作成を見据えて、CSRとの整合性を図ったプロトコルを作りやすくなるかもしれません。

「CORE Reference」の目的や進捗状況などの詳細は下記の各リンク先をご覧下さい。
・BWGのプレスリリース
http://www.emwa.org/Documents/CORE%20Press%20Release-28jan15_final.pdf
・BWGが2014年に『Medical Writing』誌に発表した論文
http://www.maneyonline.com/doi/full/10.1179/2047480614Z.000000000254
・BWGがAMWAのオープン・セッションで使用したスライド
http://www.amwa.org/files/Events/AC2015/2015BudapestWorkingGroup.pdf

BWGの今後の予定としては、今年12月に第2弾の論文を『Medical Writing』誌に発表し、2016年半ばに「CORE Reference」を公式サイトで無料公開するとのことです。CSRやプロトコルの作成・翻訳に携わる方は要チェックですね。

参照ページ
「CORE Reference」公式サイト
CSRマニュアル「CORE Reference」を読む3つのメリット(2016年AMWA年次総会の参加報告)

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