CORE Reference News 2025年11月号 注目記事

CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料公開しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1回、毎月末に公開。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て、参考用として注目記事を日本語でご紹介しております。正確な内容や詳細は英語原文と各ニュースのリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

202511月号の注目記事】
「CORE Reference News Summary」2025年11月号から注目記事をご紹介いたします。

◆2025年11月18~19日にシンガポールでICH総会が開催され、ICH M11治験実施計画書ガイドライン案が採択(ステップ4到達)。
Press Release: ICH Assembly Meeting, Singapore, November 2025

<補足>
・厚労省の2025年11月27日付新着情報
 「医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました
・PMDA
 「ICH-M11 電子的に構造化・調和された臨床試験実施計画書」英語最終版
・日本製薬工業協会
 「ICH M11導入後の医薬品開発への影響

◆欧州医薬品庁(EMA)は、臨床試験における非劣性比較と同等性比較に関して、新たなガイドライン案を発表。この案は従来の「非劣性マージンの設定に関するガイドライン」と、「優越性試験と非劣性試験のスイッチングに関する考慮事項」を統合・更新・拡張したもの。
Non-inferiority and equivalence comparisons in clinical trials – Scientific guideline

<CORE Reference Teamによる注釈>
これがメディカルライターにとってなぜ重要か?
ICH E9(R1)ガイドライン「臨床試験のための統計的原則」の補遺で概説されているestimandのフレームワークの導入により、estimandのフレームワークを非劣性比較や同等性比較に適用するための具体的な推奨事項の必要性が明らかになったため。

◆米国ハーバード大学/ブリガム&ウィメンズ病院のMRCTセンターは、遺伝子治療の長期追跡調査(LTFU)を支援するツールキット案を発表。LTFUの計画・実施・報告のベストプラクティスを提供。
Toolkit for Supporting the Design, Conduct, and Reporting of Long-Term Follow-Up Studies
このツールキット案に関するウェビナーの録画も公開。

<補足>
MRCTセンター(Multi-Regional Clinical Trials Center)は、ハーバード大学とブリガム&ウィメンズ病院に属し、国際共同治験の改善を目的とする研究・政策センター。

◆米国トランプ政権が医薬業界に及ぼす影響
(1)トランプ大統領はGLP-1肥満症治療薬の大幅な薬価引き下げで、イーライリリーおよびノボノルディスクと合意。
BMJ「Trump strikes deal with Ozempic and Mounjaro makers to cut prices of obesity injections

(2)米国国立衛生研究所(NIH)の研究助成金打ち切りにより、約30件に1件の治験が助成金を失い、74,000人以上の治験参加者に影響。
JAMA Internal MedicineClinical Trials Affected by Research Grant Terminations at the National Institutes of Health

(3)米国疾病対策センター(CDC)の公式サイトは、小児用ワクチンが自閉症を引き起こすと主張するケネディ厚生長官の見解に沿うよう、内容を変更。ワクチンの安全性を示す科学的知見に反する記載を掲載。
Reuters「US CDC adopts Kennedy’s anti-vaccine views on recast website
<補足>ロイター記事の日本語版
米CDCサイトが一変、ケネディ長官の反ワクチン主張を展開

 

著者:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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