CORE Reference News 2024年7月31日号

CORE Reference Newsとは】
治験総括報告書(CSR)のユーザーマニュアル『CORE Reference』を作成・公開している欧米のメディカルライターらから成るCORE Reference Teamが、無料配信しているニュースレター(英語)。メディカルライティングなどに役立つ医薬業界情報を欧米・アジアなどから集めて月1~2回配信。

※本ブログ記事は、クリノスがCORE Reference Teamの許諾を得て参考用として日本語に翻訳したものです。正確な内容や解釈は英語原文と各ニュース中のリンク先でご確認下さい。本ブログ記事の無断転載・転用は堅く禁止いたします。

【略語リスト】(アルファベット順)

  • CBER:Center for Biologics Evaluation and Research(米国FDAの生物製剤評価研究センター)
  • CDER:Center for Drug Evaluation and Research(米国FDAの医薬品評価研究センター)
  • CIOMS:Council for International Organizations of Medical Sciences(国際医学団体協議会)
  • CTIS:Clinical Trials Information System(EU臨床試験情報システム)
  • CTR:Clinical Trials Regulation(EU臨床試験規則)
  • EMA:European Medicines Agency(欧州医薬品庁)
  • EU/EEA:European Union/European Economic Area(欧州連合/欧州経済領域)
  • FDA:Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
  • HMA:Heads of Medicines Agencies(欧州医薬品規制当局首脳会議)
  • ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)
  • MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency(英国医薬品医療製品規制庁)
  • RWD:real-world data(リアルワールドデータ)
  • RWE:real-world evidence(リアルワールドエビデンス)

 

1. EU CTRCTIS

1.1 EMAは、2024年7月2日に開催されたPCWP(Patients and Consumers Working Party)とHCPWP(Healthcare Professionals Working Party)の合同会議で発表した「Revised CTIS transparency rules and new version of the public portal」(CTIS改正透明性規則と、CTISパブリックポータルの新バージョン)のスライドを公開しました。

訳注)PCWPは患者・消費者団体による作業部会、HCPWPは医療従事者による作業部会。いずれもEMAとの意見交換を通じて各ステークホルダーの声をEMAの活動に活かすために、EMAが設立した組織。

1.2 EMAは、臨床データポータル(CDP)について、ユーザーからフィードバックを得るためのアンケート調査を開始しました。このアンケートは、臨床試験データが公開されているEMAの臨床データポータルのユーザー満足度や使いやすさについて、意見を収集することを目的としています。EMAはユーザーからのフィードバックを重視しており、アンケートの回答は、臨床データポータルの潜在的な問題の発見・解決や、臨床データの利便性向上に役立ちます。回答に要する時間は5分程度で、回答はすべて保護され、集計されたデータのみが報告されます。アンケートにはこちらから回答可能です。

1.3 HMAのCTAG(Clinical Trials Coordination and Advisory Group:臨床試験調整諮問グループ)は、EU CTR No. 536/2014のQ&A改訂版「Clinical Trials Regulation (EU) No. 536/2014 Questions & Answers Version 6.9」(2024年7月9日付)を、EudraLex Volume 10で発表しました。旧版からの変更は、中間分析に関する新たな質問6.6の追加や、付録II、III、IV、Vのアップデートなどで、主な変更内容は以下のとおりです。

  • CTIS改正透明性規則とQ&A回答との整合性
  • 不測の緊急事態による例外的な場合に、既存の治験実施施設で治験責任医師を変更する承認戦略に関するガイダンス
  • Paediatric Regulation(EU No. 1901/2006)第46条(1)に該当しない小児臨床試験で、科学的理由により、試験結果の概要を試験終了後6ヶ月以内に提出できない場合は、遅くとも12ヶ月以内に提出。
  • CTRに照らして中間解析とみなされるものや、中間解析結果の要約の提出方法・手順とその例外に関するガイダンス。例外は下記の3つのケース。
    ①独立データモニタリング委員会(IDMC)による中間解析の結果、治験依頼者や治験責任医師の盲検を維持すべき場合
    ②臨床試験の継続方法(例:早期臨床試験における投与方法)の決定に関して、明確な判断基準が治験プロトコルに規定されている場合
    ③治験プロトコルで規定された正当な理由により、中間解析結果の要約を1年以内に提出できない場合

訳注)EudraLex:European Union Drug Regulatory Authorities Legislation。EUの医薬品規制の法規集で、全10巻から成る。Volume 10(第10巻)は「Guidelines for clinical trial」(臨床試験に関するガイドライン)。

1.4 CTISの概要が、Singh氏とShaik氏によるオンライン記事「Understanding The Basics Of EU Clinical Trials With CTIS」(CTISを利用するEU臨床試験の基礎知識)で紹介されています。

1.5 EMAは「Revised CTIS transparency rules and historical trials: quick guide for users, Version 1.7」(CTIS改正透明性規則とhistorical trial:ユーザー向けクイックガイド バージョン1.7)(2024年7月19日付)を発表しました。今回の改訂では、治験依頼者の変更によるsubstantial modification(大幅な変更)に関するガイダンス(スライド17)が追加されました。

1.6 「CTIS Release Notes – Release version 1.0.42.0」(CTISリリースノート:リリース・バージョン1.0.42.0)(2024年7月8日付)には、CTISの最新情報が概説されています。

1.7 HMAのCTCG(Clinical Trials Coordination Group:臨床試験調整グループ)は、下記の4つの文書について新たなテンプレートを発表しました。

カバーレターは、申請の背景情報や、CTISに提出した内容の明確な概要を提供する重要な文書であり、質の高いカバーレターは申請の検証と評価を促進します。これは、情報提供依頼(RFI)への回答として提出される「変更リスト」にも当てはまります。

2. 英国とMHRAのニュース

英国国民保健サービス(NHS)医療研究機構(HRA)は、臨床試験の登録に関する障壁とその解決策を探るため、「Make it Public workshop — all clinical trials registered」(研究開示ワークショップ:全臨床試験の登録を!)を2024年3月に開催しました。その要約「Make it Public workshop summary」が公開されています。このワークショップでは、試験登録に関して、以下の4つの重要な問題が浮き彫りになりました。(1)登録に必要なリソース、(2)登録のコスト、(3)あらゆる試験タイプに適した登録プラットフォームを見つけることの難しさ、(4)登録プラットフォームの制限や複雑さ。

3. 米国FDAのガイダンスとニュース

3.1 臨床試験登録サイトClinicalTrials.govの最新のアップデート情報が発表されました。

  • 詳細は、最新の「Release Notes」をご覧下さい。
  • Modernization Transition Top Questions」(サイトの最新化に関してよくある質問)のページが更新されました。これまでPDFファイルで提供されていた情報がウェブページに変換され、アクセスしやすくなりました。
  • 2024年の「Train-the-Trainer Workshop」(研修講師養成ワークショップ)の資料が、教育関連のウェブページで公開されました。

3.2 FDAは「Guidance Snapshot: Digital Health Technologies for Remote Data Acquisition in Clinical Investigations」(ガイダンス・スナップショット:臨床試験における遠隔データ収集のためのデジタルヘルス技術)を発表しました。ガイダンスの概要はポッドキャストで聴くこともできます。

訳注)Guidance Snapshot:FDAのガイダンス文書の透明性のあるコミュニケーションと普及をサポートするために、ガイダンス文書のポイントを視覚的かつ平易な言葉で提供するコミュニケーション・ツール。

3.3 FDAは「Rare Disease Innovation Hub」(希少疾患イノベーションハブ)の設立計画を発表しました。これは、希少疾患の治療法の開発と承認を加速させることにより、患者の転帰を改善することを目的とした取り組みです。

3.4 FDAはガイダンス案「Purpose and Content of Use-Related Risk Analyses (URRA) for Drugs, Biological Products, and Combination Products」(医薬品、生物学的製剤、コンビネーション製品の使用関連リスク分析 [URRA] の目的と内容)を公開し、パブリックコメントを募集しています。URRAは、コンビネーション製品の使用に関連する潜在的リスクを特定する上で重要な役割を果たします。本ガイダンス案は、医薬品または生物学的製剤を含むコンビネーション製品の製造業者に、販売申請のサポートに使用されるURRAの目的と内容に関する情報を提供しています。

4. リアルワールドデータ

4.1 2024年7月にFDAは、電子健康記録(EHR)から得たリアルワールドデータ(RWD)の評価に関する最終ガイダンス「Real-World Data: Assessing Electronic Health Records and Medical Claims Data to Support Regulatory Decision-Making for Drug and Biological Products」(リアルワールドデータ:医薬品および生物学的製剤の規制上の意思決定をサポートするための電子健康記録と医療請求データの評価)を発表しました。本ガイダンスでは、臨床試験の変数の選択や検証など、試験デザインの要素が明確に示されています。

4.2 PHUSEはブログ記事「RWD: The FDA’s Guidance on Assessing Registry Data to Support Regulatory Decision-Making」(RWD:規制当局の意思決定をサポートするレジストリデータの評価に関するFDAガイダンス)を発表しました。PHUSEのリアルワールドエビデンス作業部会のプロジェクト「Quality and Reusability of Real World Data」(RWDの品質と再利用性)もご参照下さい。

訳注)PHUSE:Pharmaceutical Users Software Exchange。製薬企業やIT企業などのデータマネージメント、生物統計、電子臨床データ、毒性、病理、薬理などの各専門家ボランティアから成る国際的非営利組織。FDAやEMA、CDISCなどの規制当局・機関に対する業界代弁者。

5. 透明性・情報開示のリソースとニュース

5.1 PHUSEはデータの透明性に関する無料オンラインイベント「PHUSE Data Transparency Autumn event」を、2024年9月17~19日の15:00~17:30(英国夏時間)/10:00~12:30(米国東部夏時間)に開催します。参加申込の受付は2024年8月5日から開始されます。

5.2 RAPS(Regulatory Affairs Professionals Society:薬事専門家協会)は、無料のウェブキャスト「Author Clinical Study Reports with Data Privacy & Disclosure in Mind」(データプライバシーと開示を念頭に置いた治験総括報告書 [CSR] の作成)を2024年8月7日に開催します。本イベントの目的は、メディカルライティングが臨床データ開示に与える影響について議論することと、情報開示を念頭に置いた無駄のないCSR作成が開示プロセスの効率をいかに向上させられるかを示すことです。

訳注)RAPS:医薬品や生物製剤、医療機器、デジタルヘルスなどの規制に携わる専門家の世界最大の組織。1976年に米国で設立され、国内外の規制当局やアカデミア、製薬・医療機器業界などの専門家により、レギュラトリーサイエンスの情報交換や教育を実施。

5.3 欧州で健康に関する研究とイノベーションのために官民共同で発足したIHI(Innovative Health Initiative)は、無料のウェビナー「Masterclass – how to unlock the potential of data sharing in collaborative projects」(マスタークラス – 共同プロジェクトでデータ共有の可能性を最大限に引き出す方法)を2024年9月4日に開催します。これは、健康データの共有に役立つ実用的なツールとリソースを紹介するインタラクティブなウェビナーで、欧州製薬団体連合会(EFPIA)が新たに作成した「Data Sharing Playbook」(データ共有プレイブック)に基づいて開催されます。参加申込はこちらから可能です。

5.4 2024年7月、DavalとKesselheimは『JAMA』誌にviewpoint論文「The Origins of ‘Confidential Commercial Information’ at the FDA」(FDAにおける「営業機密情報」 [CCI] の起源)を発表しました。著者らは、現行法の下でのFDAの権限と義務を精査し、FDAは公衆衛生のために情報共有の柔軟性を高める措置を講じることが可能であると結論づけています。

6. 開発戦略ニュース

6.1 2024年7月にTransCelerate BioPharma社、CDISC、Vulcanが共同開催したウェビナー「Vulcan UDP (Utilizing the Digital Protocol): Collaborating to Accelerate ICH M11 and End User Value」(Vulcan UDP [デジタルプロトコルの活用]:ICH M11ガイドラインとエンドユーザーの価値促進のためのコラボレーション)のビデオ録画スライドが公開されました。このウェビナーにはFDA、EMA、CDISC、TransCelerate BioPharma社、Vulcanの各代表者が参加し、完全に利用可能なデジタルプロトコル・テンプレートの定義、適用、リリースの課題について最新情報を提供しています。なお、ICH M11ガイドラインのステップ4は2025年秋に予定されています。

訳注1)TransCelerate BioPharma Inc.:世界のバイオ医薬品企業約20社が協力して、新薬の効率的・効果的かつ高品質な提供を促進する方法を探求する非営利団体。日本の製薬企業も数社参画。治験総括報告書(CSR)や治験プロトコルのテンプレートなどを作成・提供。

訳注2)CDISC:Clinical Data Interchange Standards Consortium。臨床試験データなどの電子的収集・交換・申請に関して業界標準を策定している国際的な非営利組織。1997年に米国で設立され、国内外のアカデミアや製薬企業、CRO、IT企業などが参加。CDISCが規定する標準規格は「CDISC standard」(CDISC標準)と呼ばれている。

訳注3)Vulcan:米国の非営利標準化団体であるHL7(Health Level 7)協会が2019年に立ち上げた、マルチステークホルダーによる国際プロジェクト。HL7協会が開発した医療データ交換の標準規格FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)を活用して、医療と臨床研究のギャップを埋めることを目指している。

6.2 TransCelerate BioPharma社は2024年9月10日に、ウェビナー「Mastering Master Protocols and Advancing Platform Trial Research: a CC&R and EU-PEARL Collaboration」(マスタープロトコルの習得とプラットフォーム試験研究の推進:CC&RとEU-PEARLのコラボレーション)を開催します。この取り組みの背景については、「Enabling Platform Trials with Master Protocols: How EU-PEARL and TransCelerate BioPharma Created a Global Template」(マスタープロトコルによるプラットフォーム試験の実現:EU-PEARLとTransCelerate BioPharmaがグローバル・テンプレートを作成した経緯)をご覧下さい。ウェビナーの参加申込はこちらで受け付けています。

訳注1)EU-PEARL(EU-Patient Centric Clinical Trial Platforms):患者中心で効率的な臨床試験を目指し、Innovative Medicines Initiative(IMI)から資金提供を受けて2019年に発足した官民共同プロジェクト。患者や医師、研究者、規制当局、産業界を各々代表する36組織が協力して、欧州における患者中心のプラットフォーム試験の設計や実施を支援するツールなどを開発。

訳注2)CC&R(Clinical Content & Reuse Initiative)(旧Common Protocol Template [CPT] Initiative):TransCelerate BioPharma社の取り組みの1つ。プロジェクトのライフサイクルを通じて再利用可能な治験関連文書内で、調和された構造と提案されたモデルコンテンツを提供することにより、臨床試験のプロセスを強化し、自動化によるデジタル化と追跡を可能にすることを目指す。

6.3 Kliegmanらが発表した論文「A roadmap for affordable genetic medicines」(手頃な価格の遺伝子治療薬へのロードマップ)は、安価で利用しやすいゲノム治療への道筋を描くために結成された学際的タスクフォースの提言を紹介しています。

6.4 国際的な非営利組織Pistoia Allianceは、バイオ医薬品業界における研究データの管理とその責任に関するFAIR(Findable、Accessible、Interoperable、Re-usable)原則の実装をサポートしています。同組織は、FAIR原則の実装によるビジネス価値を示すケーススタディの収集を目的とする調査を開始しました。この調査は2024年8月末まで実施される予定です。

訳注)Pistoia Alliance:ライフサイエンスと医療における研究開発のイノベーションの障壁を下げることに取り組む国際的な会員制非営利組織。2007年にイタリアのPistoiaで開催された会議を契機に設立され、ライフサイエンス分野の企業や学術団体、出版社など100社以上が加盟。

6.5 Karl-Heinz Loebel氏は、DIAのデジタルマガジン『DIA Global Forum』2024年7月号に、「How Did We Get Here? A History of eCTD and Prospects for eCTD 4.0」(これまでの歩み:eCTDの歴史とeCTD 4.0の展望)と題する記事を発表しました。この記事ではCommon Technical Document(CTD)の進化について、CTD誕生前の時代からeCTD 4.0の実装に至るまでの歴史的経緯を概説しています。

7. 人工知能・機械学習

7.1 EUのAI規制法が2024年7月12日に公布されました。この規制法の目的は、EU域内でのAIシステムの開発、市場投入、実用化、活用について統一的な法的枠組みを定めることによりEU市場の機能を向上させ、人間中心で信頼できるAIの普及を促すことです。AI規制法は、医療機器や体外診断機器などの製品におけるAIの使用を規制しています。Hines氏らはIQVIA社のブログ記事「EU AI Act – Here’s how this will affect your organisation」(EU AI規制法:医療分野に与える影響)で、医療への潜在的な影響について解説しています。Julia Appelskog氏は自身のLinkedInの投稿で、AI規制法の重要なポイントを5つ紹介しています。

7.2 InteliNotion社はホワイトペーパー「Convergence of Generative AI and Structured Content」(生成AIと構造化コンテンツの融合)を発表し、構造化コンテンツ管理と生成AI(GenAI)を組み合わせたアプローチについて概説しています。著者らはこのアプローチを「GenAI assisted contextual authoring」(生成AI支援型コンテキスト生成)と名付け、生成AIを活用して文書作成者をサポートするアプローチを提供しています。このアプローチは、AIによるコンテンツ生成を検討する際の大きな障壁を克服し、AIの活用と治験固有の要件を調和させます。

7.3 GoogleのMichael Howell博士の総説論文「Generative artificial intelligence, patient safety and healthcare quality: a review」(生成AI、患者の安全、医療の質:レビュー)は、「基礎モデルの基礎や利点、リスク、未知数、そしてこれらの新しい機能が医療の質と患者の安全の向上にどのように役立つかに関する手引書として役立ちます」。

7.4 HaltaufderheideとRanischは、論文「The ethics of ChatGPT in medicine and healthcare: a systematic review on Large Language Models (LLMs)」(医学と医療におけるChatGPTの倫理:大規模言語モデル [LLM] に関する体系的レビュー)を発表しました。この研究では、LLMについて「公平性やバイアス、無害性、透明性、プライバシーに関して倫理的な懸念が繰り返し発生している」ことが確認され、「LLMの現在の実験的使用の必要性と正当性を確認するための批判的調査が必要である」と著者らは述べています。

8. アジア規制当局のニュース

8.1 2024年5月、中国はICHガイドラインのQ2(R2)「分析法バリデーション」とQ14「分析法開発」を採用しました(中国語のウェブページ)。関連する試験はすべて、2024年11月24日発効予定のQ2(R2)/Q14ガイドラインに概説されている原則に準拠する必要があります。中国国家薬品監督管理局(NMPA)は、両ガイドラインの中国語版を2024年2月に公開しています。

8.2 2024年5月、中国NMPAは「希少疾患治療薬の臨床研究における分散型臨床試験の適用に関する技術的ガイドライン」(中国語)を発出しました。本ガイドラインは、希少疾患治療薬の臨床開発におけるデジタルヘルス技術の適用に関する提案事項と、デジタルヘルス技術の科学的かつ標準化された実装に関する参考資料を提示しています。

8.3 2024年1月、中国NMPAは「抗腫瘍薬の医薬品添付文書における安全性情報の記載に関する技術的ガイドライン」(中国語)を発出しました。本ガイドラインは、抗腫瘍薬の医薬品添付文書における安全性情報の記載内容の標準化について、原則とガイダンスを示しています。

8.4 シンガポールの個人情報保護委員会は、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)と共同で、「Proposed Guide on Synthetic Data Generation」(合成データ生成に関するガイド案)を発表しました。このガイド案では、個人情報から個人が特定されるリスクを最小限に抑える目的で合成データを生成する際のベストプラクティスとリスク評価/検討事項が提案されています。また、合成データをAIモデルの学習データとして活用することも提案されています。

合成データ生成はプライバシー強化技術(PET)の1つで、目的に応じた数学モデルやアルゴリズムを用いて実データから人工的なデータを生成します。良質な合成データはソースデータの統計的特性とパターンを保持しているため、良質な合成データを分析することで、ソースデータの分析と同様の結果を得ることができます。

 

翻訳:内山 雪枝(クリノス 代表)
元医師、医学翻訳者、メディカルライター、セミナー講師。
明の星女子短期大学英語科卒業。東海大学医学部卒業。
大学病院勤務後、国内翻訳学校と米国大学院で翻訳を学び、
医学翻訳を30年以上手掛ける。
英文メディカルライティングの教育活動も20年以上継続中。
所属団体:米国メディカルライター協会(AMWA)(1996年~現在)
著書:『薬事・申請における英文メディカルライティング入門』I~IV巻(完売)
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