論文のパブリケーション・マネジメント

少し前の話になりますが、今年4月25日に日本メディカルライター協会(JMCA)主催のセミナー「国際的な医学雑誌への論文アクセプトのための戦略」に参加しました。その理由は、医学論文の英訳を長年手掛けているということもありますが、講師の1人がオーストラリアの有名メディカルライターKaren Woolley教授(クイーンズランド大学)だったからです。

Woolley教授は、2009年10月に開催された米国メディカルライター協会(AMWA)の年次総会で、北米人以外では初めて基調講演の演者に抜擢され、グローバルな視点から今後のメディカルライティングについてお話しをされました。ほぼ毎年日本からはるばる参加して苦労している私にとっては、まさに代弁して下さっているような提案もあり感動したので、講演後に声を掛け、少しお話しさせて頂きました。(私が書いた2009年AMWA年次総会レポートはこちら⇒http://www.jmca-npo.org/link/201001.html

そのWoolley教授に日本で再会でき、講義も聞けるとあっては、セミナーに参加しない手はありません。JMCAからセミナーの案内を受け取るとすぐに申し込みました。

セミナーでは、まずスタットコム株式会社メディカルコミュニケーション部長の戸梶亜弥氏が)「パブリケーション・マネジメント」(publication management)ついて概要を説明して下さいました。

「パブリケーション・マネジメント」という言葉を聞いたことがない方が多いかもしれませんが、これは論文投稿を計画的に行うことであり、欧米ではパブリケーション・マネジメントを専門に手掛け、論文の著者を手助けする「パブリケーション・マネジャー」(略称:パブマネ)も存在します。日本ではまだ馴染みの薄い概念と職業ですが、論文の作成・翻訳に携わる方は覚えておくと良いでしょう。

欧米では「パブリケーション・マネジメント」が普及してきていますから、日本人が英語で論文を書いたり、日本語の論文を英訳したりしただけでは、海外の医学雑誌にアクセプトされるのが難しくなってきています。今後は研究や臨床試験の計画時からパブマネと協力して計画的・戦略的に投稿の準備を進めていかなければ、欧米の論文と同じ土俵で戦えないかもしれません。

そのような状況下、戸梶氏はInternational Society for Medical Publication Professionals (ISMPP)のcertified medical publication professionalであり、すでにパブマネの国際的な資格を取得している日本人が存在するというのは大変心強いです。(次回に続く)

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