製薬業界のメディカルライター必見!EMWAとAMWAがCSRマニュアル『CORE Reference』を共同作成中

前回のブログに書いた第75回米国メディカルライター協会(AMWA)年次総会の参加報告の続きですが、新たなオープン・セッションで人気・評価ともに高かったのは、治験総括報告書(CSR)の作成に関するICH E3ガイドラインに基づく「CORE Reference」の説明会でした。

「CORE」は「Clarity and Openness in Reporting: E3-based」の頭文字です。そして「CORE Reference」は、欧州メディカルライター協会(EMWA)の経験豊富なレギュラトリーライターらが2014年5月に結成したBudapest Working Group(BWG)が、AMWAと共同で作成中のCSR作成マニュアルです。

「CORE Reference」作成の主な理由としては、E3ガイドラインの曖昧な点を明確にする必要があること、欧米で急速に進む治験データの公開に適したCSRの作成が急務であることなどがオープン・セッションで挙げられていました。

ICH E3ガイドラインが発表されて20年が経ち、様々な問題点が指摘されているにも関わらず、ICHがE3ガイドラインを改訂する気配がないことに、欧米のレギュラトリーライターたちがしびれを切らしたのかもしれません。実は、E3ガイドライン改訂の噂は何年も前からあり、AMWAの会員数名も改訂メンバーに加わっていることがAMWAで度々話題に上っていました。しかし、BWGは昨年5月にEMWA会員を中心に結成され、その後AMWAと提携したとのことなので、E3ガイドライン改訂の動きとは別のようです。

BWGはICH E3ガイドラインを見直し、補足事項や推奨事項などを追記した「CORE Reference」の草案を作成済みで、草案のレビューは日米欧の各規制当局にも依頼しているそうです。当局の「お墨付き」となれば、「CORE Reference」の信頼性は高く、多くの製薬企業・CROが利用するにようになるのではないかと思います。

また、BWGは、CSRの礎となる治験実施計画書(プロトコル)の作成についても、ICH E6ガイドラインに基づくマニュアルを同時に作成中で、「CORE Reference」に含まれるとのことです。そうなると、CSRの作成を見据えて、CSRとの整合性を図ったプロトコルを作りやすくなるかもしれません。

「CORE Reference」の目的や進捗状況などの詳細は下記の各リンク先をご覧下さい。
・BWGのプレスリリース
http://www.emwa.org/Documents/CORE%20Press%20Release-28jan15_final.pdf
・BWGが2014年に『Medical Writing』誌に発表した論文
http://www.maneyonline.com/doi/full/10.1179/2047480614Z.000000000254
・BWGがAMWAのオープン・セッションで使用したスライド
http://www.amwa.org/files/Events/AC2015/2015BudapestWorkingGroup.pdf

BWGの今後の予定としては、今年12月に第2弾の論文を『Medical Writing』誌に発表し、2016年半ばに「CORE Reference」を公式サイトで無料公開するとのことです。CSRやプロトコルの作成・翻訳に携わる方は要チェックですね。

参照ページ
「CORE Reference」公式サイト
CSRマニュアル「CORE Reference」を読む3つのメリット(2016年AMWA年次総会の参加報告)

ページの先頭へ戻る