がんの基礎知識を学ぶ3つのメリット

がん領域の研究・開発が盛んな昨今、製薬企業・CROから英文メディカルライティングの研修や講演をお引き受けすると、「抗がん剤の治験総括報告書やプロトコルを取り上げてほしい」「がんに関する英語表現を教えてほしい」など、がん領域の英語学習のご要望を頂くことが増えています。

しかし、英語表現を学ぶ前に、そもそもがんの基本的な事柄さえ十分知らない・理解していない受講者が多いことに驚きます。例えば和文英訳の演習で「進行がん」を「progressive cancer」と訳す受講者が意外に多いのですが、「進行がん」の意味を正しく理解していれば、「進行性の」という意味の形容詞「progressive」を使うことはおかしいと気付くはずです(ネットでも簡単に調べられる専門用語の定訳を確認していないことも問題ですが・・・)。残念ながら、「腫瘍学」(オンコロジー)の基礎を体系的に習った経験があるメディカルライター・翻訳者は少ないようです。

ライティングでも翻訳でも、言語の種類を問わず、文書の内容を正確かつ十分に理解できなければ、重大な記述ミスを犯すリスクが高くなります。だからこそ、メディカルライターや医薬翻訳者には医薬分野の専門知識が求められるのです。

また、にわか仕込みの断片的な知識のままでは、がんに関する最新の知見も十分に理解できず、がん関連文書の内容に今後ますます付いていけなくなります。キャリアアップを目指すなら、がんの専門知識を増やすことも考えると良いかもしれません。

そこで、がんの基本的な事柄をよく知らない方は、腫瘍学の基礎を学んでみてはいかがでしょうか。中級レベルで知識が断片的あるいは中途半端な方は、一度基本に戻って体系的に学び直すと、知識が整理されて利用・応用しやすくなると思います。

基礎を学ぶ3つのメリット

様々な疾患の中でも、がんの場合は基礎を学ぶメリットが3つもあります。

【メリット1】
がんには胃がんや乳がん、白血病など様々な種類がありますが、がんの基本的な概念・用語・診断・治療などは多くのがんに共通するので、腫瘍学の基礎を学ぶと様々ながんが一気に理解しやすくなります。他の疾患(例:高血圧、骨粗鬆症)について勉強した場合、その知識はその疾患の理解にしか役立たないことが多いので、他の疾患に比べてがんの基礎知識は「汎用性」が高いと言えます。

【メリット2】
がん領域の研究・開発は、がん患者の増加に伴って今後も活発な状況が続くと予想されるので、腫瘍学の基礎知識は長期に渡り頻繁に業務上役立つ可能性が高いです。実際、私が医学部で学んだ基礎知識は、数十年経った今でも大変役に立っています。これら2つの特徴は他の疾患の学習にはないメリットです。

【メリット3】
今や日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われるほど、がんは身近な病気ですから、がんの基礎知識はプライベートでも役に立ちます。がんの病態を正しく理解すれば、がんを闇雲に恐れることなく、適切な予防や早期発見に努めて発症に備えることができます。また、どのように対処すべきか少しでも知っておけば、万が一発症してもパニックや落ち込みを軽減できるでしょうし、適切な治療を選びやすくなります。自分自身のためだけでなく、大切な家族や友人のためにも、健康の「常識」として腫瘍学の基礎を学んでおいて損はありません!

このように、腫瘍学の基礎学習には公私ともに大きなメリットがあります。

文系出身者にもお薦め!

文系出身の医薬翻訳者やメディカルライターで、「少しでも医学知識を身に着けたいけど、医学分野は広すぎて、何から勉強すればいいかわからない・・・」とお悩みの方にも、腫瘍学の基礎学習はお薦めです。その理由は主に3つあります。

1. がんは身近な病気なので、腫瘍学は取っ付きやすい
2. がん領域は一般向けのわかりやすい本やセミナーなどが多く、勉強しやすい
3. 前述の3つのメリットから考えて学習の費用対効果も時間対効果も高い

これらの理由より、医学分野の中では腫瘍学から学び始めるのが得策だと考えられるので、私は医薬翻訳者やメディカルライターの方々から医学分野の学習について相談を受けると、いつも「腫瘍学」を真っ先にお薦めしています。医学知識のない方は、医学への入り口として腫瘍学から勉強を始めてみてはいかがでしょう?

腫瘍学の基礎(総論)を理解できたら、肺がんや大腸がんなど特定のがん(各論)の勉強に進んだり、腫瘍学を構成する分野(例:遺伝学、薬理学、臨床検査、外科)の勉強を深めたりすれば、がんの理解に必要な医学知識をさらに増やせるでしょう。

まとめ
腫瘍学の基礎知識は・・・

  • 他の疾患に比べて汎用性が高い
  • 長期間、頻繁にメディカルライティング・医薬翻訳に役立つ可能性が高い
  • 健康の「常識」としてプライベートでも役立つ

腫瘍学は・・・

  • 身近で取っつきやすい
  • 一般向けの本なども多くて勉強しやすい
  • 学習効果が高い

<「がんの基礎知識を学びたい!」と思った方へ>
「がん臨床試験のための腫瘍学入門」セミナー
~知っておくべき、がんの常識と日英専門用語~
2016年6月10日(金) TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京都新宿区)
詳細・お申込はこちら⇒http://www.clinos.com/seminar/580/
(追記:本セミナーは盛況のうちに終了いたしました。多数のご参加ありがとうございました)

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